1992 Fiscal Year Annual Research Report
実時間解析による脳電気活動の時間空間的な位相動特性の研究
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04650381
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
平川 一美 九州大学, 工学部, 教授 (40037718)
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Keywords | アルファ波 / ダイナミクス / 位相 / カオス |
Research Abstract |
平成4年度は臨床脳波を含む新規データの採取および実時間解析装置の製作を中心として研究をとりおこなった。その結果、新たに得られた知見としては、主に次の3つが挙げられる。 1.精神分裂病疾患者の脳波の位相・振幅時空動特性に関して前頭優位・同相分布で示される、健常者で稀にしか認められないような結果例を見いだした。 2.位相と振幅の時空動特性において,精神分裂病患者と健常者との性質はそれぞれに異なっており,位相と振幅を併用して調べることにより健常者と疾患者,ならびに疾患者の特性を詳細に分類できる可能性を示した。 3.健常者の光刺激による引き込み時において,α波の位相は刺激への同期と脱同期を繰り返す。この位相揺らぎに関して,間欠カオス的な性質が内在されていることを示した。 1.,2.は従来,全くと言っていいほど注目されることのなかった位相情報の重要性を示唆するものであり,本研究で提案した分析法が臨床応用に有望であることを示している。一方,3.は健常者α波の基本的なダイナミクスに関して有用な知見であると考えられる。 今後,新たに構築した装置を最大限に活用して多数の精神疾患者の脳波を採取し,健常者との定量的な比較を始めとした詳細な検討を行うと共に,間欠カオス的性質を考慮にいれた結合振動子系を提案して健常者α波のモデルシミュレーションを進める予定である。
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Research Products
(1 results)