1993 Fiscal Year Annual Research Report
モードI破壊により岩石内のクラック発生機構の解明とクラック経路のフラクタル解析
Project/Area Number |
04650446
|
Research Institution | Tokuyama College of Technology Civil |
Principal Investigator |
工藤 洋三 徳山工業高等専門学校, 土木建築工学科, 教授 (00035081)
|
Keywords | フラクタル / クラック / 花崗岩 / ダブルトーション試験 / 破壊機構 |
Research Abstract |
岩石破壊力学では3種類の基本的な破壊モードが知られているが,モードII(せん断型)やモードIIIの破壊であっても,基本的にはモードI(引張型)クラックによるプロセスゾーンの形成によって巨視的な破壊モードが形成されると,申請者は考えている.このような視点に立てば,岩石破壊の機構を考える場合,モードIクラックの特徴を十分に理解しておくことが必要となる.本研究ではこうした問題意識に立って,モードI破壊による岩石内のクラック発生機構を解明しようと試みた. 応力下で岩石内に生じるクラックの進行経路は,応力状態のみならず岩石を構成する鉱物粒の種類や組合せに依存するので,クラックの進行経路を観察するためにはクラックの開始位置,進行方向,クラック速度などが明らかであることが望ましい.そのような試験法としてダブルトーション試験法を選び,この試験によって得られた試料の薄片観察によって花崗岩内のクラックの生成機構について前年度に引き続き以下の実験,検討を行った. (1)前年度に引き続き、DT法(ダブルトーション法)により岩石内で伸長するクラックを実体顕微鏡下で観察し,プロセスゾーンを含めたクラック分布のフラクタル性の評価・検討を行った.その結果,岩石を構成する粒子のサイズより大きな波長領域ではクラック経路はフラクタルであることが確認された.これよりフラクタル次元をもとめ,クラックの進行方向,開口方向との関連を議論した. (2)DT法のクラックの画像を,フォトCDにおさめ,クラックのラフネスのフラクタル次元を求めた.フラクタル次元の計算は,コンパス法,ボックス法,スペクトルから間接的に求める方法,の3種類の方法について検討を行った. (3)クラックの定性的観察,クラック経路のスペクトル解析およびフラクタル解析から,先在クラックと関連したモードIクラックの特徴および生成,伸張の過程について考察を行った.その結果,岩石の不連続面の特性を定量化するためにフラクタル次元が有効な指標となる可能性を示唆した.
|