1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04650542
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Research Institution | 九州芸術工科大学 |
Principal Investigator |
藤原 恭司 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (00038978)
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Keywords | 道路交通騒音 / 防音壁 |
Research Abstract |
近年,道路交通量の増加にともなって自動車騒音のレベルも上昇の一途をたどっている.この騒音を制御する目的で用いられるものに防音壁がある.従来用いられている防音壁は一般的に音源側は吸音性,受音側は剛な反射性のものである.騒音レベルの上昇にともない,この防音壁の高さも上昇しているのが現状である.これに対して防音壁の表面がソフトな場合には同じ高さでも従来のものより大きな遮音性能が得られることが知られている.この研究はソフトな防音壁の実現を目的としたもので平成4年度に得られた結果は次の通りである. 解析結果によれば,1/4波長音響管の平面配列が入射音波を反射する際,反射波の位相は180゚ずれるものの,音響管の開口端補正の影響により実際の管長よりも長い波長を持つ周波数に対してソフトな条件を満たすことが明らかとなった.次いで断面寸法が7cmx7cmの角パイプを用いて1/4波長音響管配列を構成し,断面寸法が50cmx50cmの大寸法音響管内で垂直入射に対してソフトな反射条件を満たすかどうかについて実験的に検討を加えた.その結果,ほぼ解析結果と同様な状況を示すが,完全には反射率‐1の条件を満たしてはいないことが明らかとなった.また狭帯域雑音として1/3オクターブバンド雑音を用いれば,ほぼ純音と同様な結果が得られることが明らかとなった.平成5年度の実施する防音壁は本学の無響室の大きさ,防音塀としての実測範囲等を考慮し,ソフトな防音塀の表面を覆う1/4波長音響管のサイズは,8mmx8mm程度の開口部を持ち,17mm程度を管長とすることが妥当であるとの結論に達した. 以上のように平成4年度はほぼ初期の研究目的を達成することが出来た.ただ一つ問題点として残っていることは,1/4波長音響管の平面配列が完全には反射率‐1を満たすことが出来ず,この僅かの差が音響管配列を防音塀に適用した場合,どの程度の影響になるかである.この点については平成5年度も検討を加えながら,残された研究課題を解決していく予定である.
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