1992 Fiscal Year Annual Research Report
森林土壌における活性アルミニウムのスギ生育に及ぼす影響評価
Project/Area Number |
04660161
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
脇 孝介 岐阜大学, 農学部, 教授 (40211669)
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Keywords | スギ生育 / 置換性アルミニウム / 樹木衰退 / 土壌の酸性化 / 葉分析 |
Research Abstract |
酸性物貭降下量の多少、土壌型などを考慮して、岐阜・富山・群馬の各県下の13ヶ所より表層土壌およびスギ針葉を採取した。アルミニウムの植物への影響を解析するためにスギの針葉を樹冠の層位・葉齢に從って細分し分析に供した。 都市及びその周縁地域では樹齢の比較的高いスギに衰退の兆候があり、主として樹冠の薄葉化(thinning)が認められた。しかし酸性化の著しいポドゾルでは衰退は認められず、酸性土壌は必ずしもスギ衰退に関係しなかった。 調査した範囲では表層土壌のpH(H_2O)は3.6〜5.4で、やや酸性化した地点が多かった。土壌の酸性化は当然塩化カリウムによって交換浸出される活性アルミニウムの増加を併う。 針葉のアルミニウム含量は10ppm〜250ppmで、樹冠の位置によってアルミニウム濃度に特定の傾向は認められなかったが、一般的には当年生葉は1年生葉に比べてアルミニウムは少い。梢端の枯損もしくは樹冠の薄葉化の兆候のあるスギはアルミニウム含量は多い。地域や土壌母材によってアルミニウム含量は異なり、とくに火山灰の影響の大きい群馬の土壌はアルミニウム含量は著しく多い。しかしポドゾルでは土壌は酸性が強く、置換性アルミニウムが著しく多いにかかわらず針葉のアルミニウム含量は50ppmと、それほど多いとはいえない。 枯損の兆候が認められるところでは、土壌表層のpH(H_2O)とpH(kcl)との差が小さかった。土壌のN‐kcl抽出液のAl/Caは樹木衰退の指標になるとされているが、スギについては適応しなかった。
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