1993 Fiscal Year Annual Research Report
ヤツメウナギ体表粘液および卵巣中のタンパク毒に関する生化学的研究
Project/Area Number |
04660220
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Research Institution | Tokyo University of Fisheries |
Principal Investigator |
塩見 一雄 東京水産大学, 水産学部, 教授 (90111690)
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Keywords | ヤツメウナギ / 粘液毒 / 卵巣毒 / タンパク毒 / ウナギ目魚類 |
Research Abstract |
1.ヤツメウナギ卵巣中に,これまで魚類卵巣毒として知られているdinogunellinとはタイプの異なるタンパク毒を発見した。CM-celluloseクロマト,ヒドロキシアパタイトクロマトおよびFPLC(Mono S)により,native-PAGEで単一バンドを与える精製毒を得た。毒は塩基性で,分子量はゲルろ過HPLCで22,000,ゲルろ過FPLCで25,000,還元剤非存在下のSDS-PAGEで40,000と測定され,ゲルろ過担体との相互作用が示唆された。還元剤存在下のSDS-PAGE分析により,毒はS-S結合を介した分子量30,000と10,000の2種類のサブユニットで構成されていることが判明した。サブユニットの分離を達成できなかったためアミノ酸配列に関する知見は得られなかったが,今後に残された重要課題である。2.精製毒の毒性は強く,マウス静脈投与によるLD50は33μg/kgと算出された。毒はサワガニに対してはマウスに対するよりも約2倍の致死活性を示したが,溶血活性,赤血球凝集活性および抗菌活性は認められなかった。3.ヤツメウナギ体表粘液中にもタンパク毒が検出されたが、きわめて不安定で精製には至らなかった。ただし50%グリセリンに安定化効果が見いだされたので,今後の精製ならびに性状解明が期待される。4.体表粘液毒は54種魚類中9種に検出された。特に3種ウナギ目魚類(ウナギ,ヨーロッパウナギ,ハモ)の毒性が高かったが、クロマト挙動などから毒の性状はお互いに類似しており,いずれも分子量約400,000の酸性タンパク質と判断された。スフィンゴシンおよびガングリオシドにより毒性が阻害されることが注目された。5.卵巣毒は20種魚類について検索したが,すべて陰性であった。
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Research Products
(1 results)