1993 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄上行性投射ニューロンにおける痛覚伝達関連物質とその抑制機構に関する研究
Project/Area Number |
04670039
|
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
野口 光一 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (10212127)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 良訓 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (80211861)
仙波 恵美子 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (00135691)
|
Keywords | 脊髄 / 上行性投射ニューロン / 神経ペプチド / 視床 / サブスタンス P / ガラニン / コレシストキニン / エンケファリン |
Research Abstract |
痛覚伝達系における活性物質の研究の中で、含有量の問題でこれまであまり検索されてこなかった、脊髄上行性投射ニューロンにおける神経ペプチドの詳細な検討が本研究の目的である。研究代表者により、タキキニン類(サブスタンスPなど)が上行性の脊髄中脳路において痛覚刺激により著明な遺伝子発現の増加を示すことが明らかにされている。そこで侵害受容線維の終末部位として知られている視床各亜核における、上行性投射ニューロンの神経ペプチド陽性線維や終末の分布を検索してきた。サブスタンスP陽性反応は頚髄半切実験により、視床のVPL(ventroposterolateral nucleus)の外側部、PO(posterior complex)の特に内側膝状体の内側部、CL(central lateral nucleus)など特定の核で減少を示した。ガラニンでは視床後角群(PO)において、具体的には内側毛帯の外側部から、より尾側では内側毛帯の背側を内側に向かい、さらに束傍核へかけて明かな左右差を呈していた。エンケファリンとコレシストキニンもガラニンとよく似た分布を示し、切断側で免疫反応の減少が観察された。ダイノルフィンに関しては明かな左右差を生じる部位は視床には存在しなかった。これらの神経ペプチド含有終末や線維の起源は脊髄第1層、IV〜V層の外側部、第X層などと考えられるが、特に中心管周囲のSTTニューロンはGAL、CCK、ENK等を共存し、視床後部に投射していると考えられる。SP含有ニューロンは脊髄後角第1層、第IV層〜第V層、及びLSN(lateral spinal nucleus)などが起源と考えられる。脊髄での分布がSPと類似しているダイノルフィンの変化が視床で観察されなかった事は、感度の問題以外に疼痛刺激で大きく発現が誘導されるダイノルフィンmRNAの特性を考慮して、今後末梢炎症モデルなどで検索を進める必要があると考えられる。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Noguchi K., De Leon M. Nahin R.L., Senba E. et al.: "Quantification of axotomy-induced alteration of neuropeptide mRNA in dorsal root ganglion neurons with special reference to neuro--" Journal of Neuroscience Reserach. 35. 54-66 (1993)
-
[Publications] Noguchi K., Dubner R., De Leon M., Senba E. et al.: "Axotomy induces preprotachykinin gene expression in a subpopulation of dorsal root ganglion neurons." Journal of Neuroscience Research. (In press).
-
[Publications] Umemoto S., Noguchi K., Kawai Y. & Senba E.: "The expression of neuropeptides and their mRNAs in the trigeminal mesencephalic necleus following masseteric nerve transection." Molecular Brain Research. (In press).
-
[Publications] Noguchi K. & Ruda M.A.: "Gene regulation in an ascending nociceptive padhway: Inflammation-induced increase in preprotachykinin mRNA in rat lamina I spinal--" Journal of Neuroscience. 12. 2563-2572 (1992)
-
[Publications] 野 口 光 一: "痛みの物質" ブレイレサイエンス. 3(1). 51-60 (1992)
-
[Publications] 野 口 光 一: "痛みの組織化学" Brain Medical. 4. 399-404 (1992)