1992 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイドA蛋白とその前駆体の解析ーアミロイド原性サブタイプの有無について
Project/Area Number |
04670179
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
白沢 春之 浜松医科大学, 医学部, 教授 (60079986)
|
Keywords | アミロイドーシス / アミロイドA蛋白 / 血清アミロイドA蛋白 |
Research Abstract |
ヒトのAAアミロイドーシスと血清アミロイドA蛋白(SAA)のサブタイプとの関連を調べるため、以下の検体の収集と解析をおこなった。 1)非アミロイドーシス患者血清(約200人分)よりSAA蛋白 2)AAアミロイドーシス患者臓器よりアミロイドA蛋白 5例 3)AAアミロイドーシス患者臓器・血液よりDNA 9例 1)は未だ完全には解明されていないSAAサブタイプを調べるため、2)は実際にアミロイド線維となって沈着しているAA蛋白を調べ、SAAのどのサブタイプに由来するのかをみるため、3)はゲノムDNAレベルでAAアミロイドーシスとSAAの関連性を調べるためである。以上の解析は完全には終了しておらず、アミロイドーシスの検体は現在も引き続き収集中であるが、現時点までで以下のような知見を得た。 1.SAA1には蛋白レベルでSAA1α、SAA1βが報告されていたが、遺伝子レベルではSAA1αしか知られていなかった。我々は、精密な質量分析法とアミノ酸シークエンス分析によりSAA1αとSAA1βの2つを確認するとともに、これまで知られていなかったSAA1γがかなり一般に存在しているることを発見した[ABB,1993]。さらに、これらのSAAサブタイプには翻訳後修飾によると思われるN末端1および2個アミノ酸が切断されたものの混在が認められた。また、最近Beachらによって報告されたSAA1β-^<72>Asnも確認できた。 2.AAアミロイドーシスの1例でSAA1γに由来するAAが認められた。また、SAA2αに由来するAAも共に沈着していることがわかり、これら2つのSAAサブタイプがamyloidogenicであることを初めてあきらかにした[BBA,1992]。また、1個体において複数のSAAサブタイプがAAアミロイドとなり得ることがわかり、ヒトのAAアミロイドーシスはマウス等でのように1つのSAAサブタイプのみがamyloidogenicなのではないことが示された。 3.SAA1遺伝子の多形性領域であるエクソン2-エクソン3部について、AAアミロイド患者のDNAを鋳型にしてpolymerase chain reaction(PCR)をおこないsingle-strand conformation polymorphism(SSCP)法で多形性解析をおこなったところ、少なくとも3つのアロタイプがホモおよびヘテロ接合体として認められ、いまのところアミロイド患者で特定のアロタイプのみにに偏っているというデータは得られていない。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 高橋.笠間.馬場.: "血清アミロイドA蛋白酵素消化物のLC/MSによる分析" 1992年度質量分析連合討論会 講演要旨集. 214-215 (1992)
-
[Publications] Baba S, Takahashi T, Kasama T, Shirasawa H: "Identification of two novel amyloid A protein subsets coexisting in an individual patuent of AA-amyloidosis" Biochimica et Biophysica Acta. 1180. 195-200 (1992)
-
[Publications] Baba S, Takahashi T, Kasama T, Fujie M, Shirasawa H: "A novel polymorphism of human serum amyloid A protein, SAA1γ, is characterized by alanines at both residues 52 and 57" Archives of Biochemistry and Biophysics. 303. (1993)