1992 Fiscal Year Annual Research Report
川崎病の後遺症とその遠隔期死亡例に関する臨床病理並びに実験病理学的研究
Project/Area Number |
04670191
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
直江 史郎 東邦大学, 医学部, 教授 (10081647)
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Keywords | 川崎病 / 後遺症 / 剖検例 / 臨床病理 / 実験病理 |
Research Abstract |
緒言:川崎病は急性期死亡が減少したが、冠状動脈病変が残存し、心不全にて急死する症例があとを絶たない。今回は、本症後遺病変としての冠状動脈の血栓性閉塞後の再疎通血管の走行や、閉塞部前後の冠状動脈の関連を調べた。また、冠状動脈周囲や再疎通血管内腔からの栄養血管について検討した。 方法と材料:冠状動脈瘤形成があり瘤部の血栓閉塞後再疎通を来した症例のうち、再疎通血管が動脈様構造をみた16例。一部の例では連続切片作成し、冠状動脈瘤内閉塞部を画像解析装置にて立体再構築を行った。 結果:1)再疎通血管の部位別発生頻度はLCAよりもRCAに多い。LCAではLCXに多発する傾向にある。2)冠状動脈瘤閉塞部内再疎通血管と前後の冠状動脈との関連性は(a)中枢側の冠状動脈では細胞線維性求心性内膜肥厚があるが内腔は一つである。(b)動脈瘤内に3本から6本となり、その後再び一本の動脈に戻るのを基本としている。動脈周囲から閉塞部に進入し末梢に達するものは一例のみであった。3)連続切片で立体構築像を画像解析で見ると閉塞部内の複数再疎通血管が分枝あるいは合流している事が解った。4)再疎通血管は、細胞密度に乏しく線維内膜肥厚が新生し内腔は開存例が多い。再疎通血管内に血栓形成は見たことがない。少数例ながら浮腫性細胞線維性内膜肥厚により内腔の狭窄、閉塞に陥る血管も認めた。5)冠状動脈外膜側では内膜に進入する少動脈様の構造と、スリット状の2種ある。6)外膜側にある約300μの動脈が屈曲しつつ閉塞冠状動脈動脈瘤内入り、幼弱な壁構造を呈するが、下行して再び冠状動脈分岐をして閉塞内に進入したものという考え方も成立ち興味ある所見であった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 佐地 勉、 松裏 裕行、 松尾 準雄、 直江 史郎: "川崎病の生検皮膚病変における血小板由来成長因子PDGF ( PLATELET -DERIVED GROWTH FACTOR) B鎖の検索" 動脈硬化. 20. 605-611 (1992)
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[Publications] 後藤 敏、 桜井 勇 直江 史郎: "動脈瘤と静脈瘤" 臨床検査. 36. 1137-1147 (1992)
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[Publications] 小松 明男、 直江 史郎、 桜井 勇: "動脈瘤と静脈瘤" 臨床検査. 36. 1249-1255 (1992)
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[Publications] 西田 隆寛、 直江 史郎 他、 10名: "明らかな器質的心疾患がなくQT延長の認められない多形性心室頻拍の一例" 東邦医学会誌. 39. 428-434 (1992)
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[Publications] 池田 隆憲、 直江 史郎 他、 9名: "多源性持続性心室頻拍を呈し不整脈死と診断された高齢者の心サルコイドーシスの1剖検例" 心臓. 24. 840-846 (1992)
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[Publications] SHIRO NAOE, KEI TAKAHASI: "Intractable Vaculitis Syndromes" Hokkaido Univ. Press, 284 (1993)
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[Publications] 矢吹 壮、直江 史郎 (監修): "心疾患の臨床と病理" MEDICALVIEW, 111 (1993)