1992 Fiscal Year Annual Research Report
Insulinの昇圧に占める脳内アンギオテンシン系の役割について
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04670550
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
武田 和夫 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (90128710)
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Keywords | インスリン / 血圧 / 交感神経系 / 脳内アンギオテンシン / Losartan |
Research Abstract |
今回の研究は、Insulinの昇圧機序に交感神経系の亢進が関与し、その亢進機序に脳内angiotensin系の賦活が寄与するという作業仮説にもとづいて施行した。正常血圧Wistarラット(体重200-280g)をurethane麻酔し、大腿静脈よりinsulin(清水)を13,20,40mU/5μ1/minでinfusionし、血糖を10-20分おきにチェックし右外頚静脈より50%glucose液をinfusionし、euglycemic hyperinsulinemiaを作成した。120分の観察で大腿動脈より測定した血圧は投与insulinの用量依存性に昇圧反応を認めた。また、hexamethonium 40mg/kgの投与による降圧反応は生食infusion群に比して有意に大きかった。captopril 2mg/kgあるいはvasopressin antagonistの投与では生食群と血圧反応に差は認めず、insilin 40mUのinfusionはnorepinephrine 50,100,200ng/100g及びangiotensin II 12.5,25ng/100g静注投与による昇圧反応に影響を及ぼさなかった。次いで、Insulinが中枢性に昇圧作用を有するか否かについて検討するため、麻酔下ラットの右側脳室に埋め込んだステンレスカニューラよりinsulin8mU/μ1/minでinfusionしたところ生食投与群に比し有意の昇圧反応を認めた。さらにHexamethonium 40mg/kgの投与による降圧反応は生食投与群に比して有意に大であった。ついで、脳内AII系をblockするためLosartan 100μgを脳室内前投与し、脳室内にinsulinを投与すると昇圧反応は抑制された。さらにLosartanの脳室内前投与後にinsulinの静脈投与をおこなったところ昇圧反応は有意に抑制された。これらの所見から、静脈内投与されたinsulinにより作成されたeuglycemic hyperinsulinemiaは交感神経系の亢進を介して昇圧をきたし、さらにinsulinは脳内angiotensin系を賦活させることが示唆された。すなわち、末梢でのhyperinsulinemiaは中枢angiotensin系の賦活による交感神経系亢進を介して血圧上昇に寄与する機序の存在が示唆された。
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