1992 Fiscal Year Annual Research Report
抗不整脈薬による催不整脈作用の発生メカニズムと防止機構に関する実験的研究
Project/Area Number |
04670555
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
綱川 宏 昭和大学, 医学部, 講師 (90138503)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江波戸 文賢 昭和大学, 医学部, 助手 (10191925)
白井 徹郎 昭和大学, 医学部, 助手
今井 健介 昭和大学, 医学部, 助手
|
Keywords | 抗不整脈薬 / 催不整脈作用 / 心室頻拍 / 伝導速度 / 不応期 |
Research Abstract |
雑種成犬15頭でIC群抗不整脈薬であるFlecainideによる不整脈誘発(催不整脈作用)について検討を行った。開胸犬心の右室心表面に48点のマップ電極を装着し,興奮伝導への作用を頻度依存性かつ心筋線維の異方性の立場から,かつ不応期に与える作用の面から検討した。 臨床治療域に相当する血中濃度となるFlecaimideの静脈内投与により,興奮伝導速度は心筋線維方向の長軸,短軸ともに低下したが,長軸方向でより強かった(%低下19.5±7.6vs15.8±9.3%)。また刺激間隔の短縮に伴って伝導抑制作用は著明となり,かつ伝導方向による差も大となった。各点での不応期は延長したが,不応期不均一性(指標とした最長と最短不応期の差,標準偏差)は増大しなかった。この際期外刺激,高頻度刺激による心室不整脈の誘発はなかった。 Flecainideの追加投与後には高頻度刺激にて10/13頭に心室頻拍が誘発された。この際の伝導抑制作用はさらに強く,長軸方向で著明であった(%低下48.5±6.9vs41.3±5.7%)。各点の不応期はさらに延長したばかりでなく,その不均一性の増大を伴った。 このような結果から,Flecainideの過量投与により容易に臨床的にも観察されるsine-curve型のwide QRS tachycardiaが誘発されること,さらにFlecainideの催不整脈作用の一端には頻度依存性かつ異方向性の過度の伝導抑制作用と不応期不均一性の増大が関与することが示唆された。 しかし,記録上の問題から発生した心室頻拍の起源,経路などを特定することが困難で,今後の手法改良が必要と思われた。また心室頻拍の再現性についても投与量の再考を含め検討が必要であった。
|
Research Products
(1 results)