1993 Fiscal Year Annual Research Report
抗不整脈薬による催不整脈作用の発生メカニズムと防止機構に関する実験的研究
Project/Area Number |
04670555
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
綱川 宏 昭和大学, 医学部・循環器内科学, 講師 (90138503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江波戸 文賢 昭和大学, 医学部, 助手 (10191925)
白井 徹郎 昭和大学, 医学部・循環器内科学, 助手
今井 健介 昭和大学, 医学部・循環器内科学, 助手 (00255837)
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Keywords | 抗不整脈薬 / 催不整脈作用 / 心室頻拍 / 伝導速度 / 不応期 / フレカイナイド / イソプロテレノール |
Research Abstract |
我々は既にIc群抗不整脈薬flecainide(FC)の催不整脈作用について興奮伝導と不応期の両面から検討し、異方向性・頻度依存性に生じる過度の伝導抑制と不応期の不均一性増大がsine-curve型心室頻拍発生に関与する可能性を示した。更に今回isoproterenol(IP)がこれらに及ぼす影響につき、前年度同様雑種成犬の右室心表面にマップ電極(48点)を装着した実験系を用いて検討を加えた。 コントロールの測定・誘発が終了した後、IP1mug/min持続静注下にFC15〜20mg/Kgの静脈内投与を行った。伝導速度は心筋線維長軸・短軸の両方向で長軸方向優位の低下を示し(37.8±16.5% vs 32.6±9.6%)、また刺激間隔の短縮に伴いこの傾向は顕著となり、既に報告したFCの伝導抑制作用と同様の結果であった。しかし不応期には有意の変化を認めず、その不均一性(標準偏差及び最長・最短不応期の差)にも僅かな増大を見られるのみであった。この際期外刺激・高頻度刺激による心室性不整脈の誘発は認められなかった。 IP投与中止後には9頭中6頭でsine-curve型の持続性心室頻拍、1頭で非持続性心室頻拍が高頻度刺激にて誘発された。伝導速度の異方向性・頻度依存性抑制作用にはIP投与下と比し顕著な差異は見られなかったが、不応期は平均15.4±11.7%の延長を呈しており、またその不均一性も標準偏差で57.4±25.9、最長・最短の差で51.3±18.3%と著明な増大を示した。 以上よりisoproterenolはflecainide過量投与による心室頻拍の誘発を抑制するが、興奮伝導への影響は少なく、むしろ不応期の延長並びに不均一性増大を抑制することが誘発防止に関与していると考えられた。今後更に例数を重ねて詳細な検討を行うと共に他の催不整脈防止機構についても検討予定である。また本実験系では心室頻拍の起源・経路の同定が困難であり、マップ電極の形状及び実験手法の改良が必要であると思われた。
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Research Products
(1 results)