1992 Fiscal Year Annual Research Report
ビタミンD受容体障害の分子遺伝学的解析とビタミンD作用の発現調節に関する研究
Project/Area Number |
04670601
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
武田 英二 徳島大学, 医学部, 教授 (00144973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 賢一 徳島大学, 医学部, 助手 (70174208)
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Keywords | ビタミンD / ビタミンD受容体 / オステオカルシン / 転写調節 / ビタミンD依存性くる病2型 |
Research Abstract |
正常対照およびビタミンD受容体(VDR)障害患者の培養皮膚線維芽細胞を0,10^<‐10>M〜10^<‐8>MのVDおよび10^<‐7>Mレチノイン酸(RA)あるいは10^<‐7>M甲状腺ホルモン(T3)と培養後、核粗抽出液を得た。抽出伏を^<32>Pでラベルしたオステオカルシン遺伝子のVD反応エレメント(VDRE)[5'-CCGGGTGAACGGGGGCATT-3']と、あるいはVDREにAP-1結合部位を含むVDRE-AP[5'-TTGGTGACTCACCGGGTGAACGGGGGCACC-3']と室温で反応させたのちバンドシフトアッセイにより蛋白と結合したVDREおよびVDRE-APを検出した。 VDREとの反応:正常細胞ではVD非添加細胞に比し、10^<‐10>M〜10^<‐8>MVDによりVDR・VDRE複合体の形成は増加した。その効果は10^<‐10>Mで最大で、10^<‐9>Mおよび10^<‐8>Mでは漸減した。10^<‐7>MRAあるいは10^<‐7>MT3は、それぞれ単独で、あるいはVDと共存しても複合体形成に対する明かな効果を示さなかった。患者細胞では10^<‐9>Mおよび10^<‐8>MVDによっても複合体は増加しなかった。また10^<‐7>MRAあるいは10^<‐7>MT3をVD非添加および10^<‐9>MVD添加細胞に加えても変化は見られなかったが、10^<‐8>MVD添加細胞に加えると複合体形成は低下した。 VDRE-APとの反応:正常ではVDR・VDRE複合体と同じ移動度を示すVDR・VDR-AP複合体の増加の程度はVDREとの反応に比して軽度であった。またRAおよびT3の明かな効果も見られなかった。しかしこのバンドより移動度の少し速いバンドが10^<‐10>Mおよび10^<‐9>MVD添加細胞、さらに10^<‐7>MRAおよび10^<‐7>MT3を加えたVD非添加、10^<‐10>M,10^<‐9>M,10^<‐8>MVD添加細胞で著明に増加した。患者細胞でVDR・VDRE複合体と同じ移動度を示すバンドは10^<‐7>MRAおよび10^<‐7>MT3を加えたVD非添加群で増加し、10^<‐8>MVD添加細胞では減少した。以上の結果より患者においてVDによるオステオカルシン遺伝子の転写は障害されているがRAおよびT3は代償して作用することが示された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Saijo Takahiko: "Phenotypic heterogeneity in 5 Japanese patients with an identical point mutation in the Vitamin D receptor gene." Clinical Pediatric Endocrinology. 1. 15-19 (1992)
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[Publications] Kawano Yoshihumi: "Suspected distinct activation pathways of human lymphocytes induced by antilymphocyte globulin and antiCD3 monoclonal antibody result in different secretion of hematopoietic colony-stimulating activities." European Journal of Haematology. 49. 14-18 (1992)
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[Publications] 武田 英二: "ビタミンDの作用とその異常" 実験医学. 10. 540-544 (1992)
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[Publications] 武田 英二: "ビタミンD依存症とビタミンD不応症" 日本臨床. (1993)