1993 Fiscal Year Annual Research Report
放射線による腫瘍の抗原性の変化の分子生物学的手法による解析
Project/Area Number |
04670684
|
Research Institution | School of Medice, Kurume University |
Principal Investigator |
槇殿 玲子 久留米大学, 医学部, 助手 (50038832)
|
Keywords | 腫瘍関連抗原 / 放射線照射 / T細胞受容体(TCR) / TeR可変部位遺伝子(Vbeta) / Mit134腫瘍 / 抗原認識 / 舌癌 / 乳癌 |
Research Abstract |
今年度ではヒト腫瘍のうち舌癌と乳癌を選んで放射線照射(治療)による腫瘍の抗原性の変化を解析することを目標とした。まず腫瘍内浸潤リンパ球(TIL)を免疫組織学的に解析した。非照射舌癌組織にはいずれの病期(TNM分類)の症例にも共通して中等度から高度のCD3+CD4+T細胞の浸潤が全例(10/10)に認められたが、その他の細胞の浸潤頻度はCD8+細胞(2/10),NK細胞[CD56+(9/10),CD16+(5/10)],B細胞[CD20+(4/10)]であった。非照射乳癌(浸潤腺管癌の10症例)の同様な検索でもCD3+CD4+細胞の浸潤が優位を占め(10/10)、その他の細胞の浸潤頻度はCD8+細胞(4/10),NK細胞[CD16+(6/10)],B細胞[CD20+(5/10)]であった。外照射を受けた舌癌症例からの経時的な腫瘍組織の入手は研究期間中皆無であった。また乳癌も早期発見により小さい腫瘤の段階で手術対象となる症例が多くさらに近年の手術並びに照射法の変化によって術前照射症例自体が減少した。結局一症例(乳頭腺管癌)の解析に留まった。この症例では照射前組織に中等度のCD4+細胞の浸潤と散在性のCD8+細胞の浸潤が認められ、これは照射開始後も集積線量が10Gy,20Gy時点まで同程度に持続した。30Gy照射時点でCD4+細胞の浸潤が増強されたが、照射終了時点(40Gy)ではCD4+,CD8+細胞ともに検出されなくなった。この症例からもその解析に必要なリンパ球数が得られなかったため、腫瘍の照射による抗原性の変化をTcRレパトアの変化によって検出する当初の研究計画は実行出来なかった。結論を導くために今後さらに症例を増やして解析を続けることとしている。前年度に引き続いだ実験腫瘍の抗原性の変化の解析では以下の結果を得た。放射線により腫瘍排除能が促進されるが、これはマクロファージによる腫瘍抗原の提示によりヘルパーT細胞の分化が促進されるためであることが示唆された。MH134に対応し細胞の文化が促進されるためであることが示唆された。MH134に対応したTcR Vbeta鎖はVbeta6に限定され腫瘍照射による変化は検出されなかった。
|