1992 Fiscal Year Annual Research Report
フリーラジカル消去による自然発癌および癌化学療法後の二次発癌の防止に関する研究
Project/Area Number |
04670779
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤本 二郎 大阪大学, 医学部, 助手 (60028610)
|
Keywords | フリーラジカル・スカベンジャー / 発癌 / 発癌抑制 / シスプラチン / CV-3611 |
Research Abstract |
マウスを用い、抗癌剤シスプラチン(CDDP)による腫瘍誘発能について検討するとともに、フリーラジカル・スカベンジャーによる自然発癌およびCDDP誘発腫瘍に対する抑制効果を検討した。フリーラジカル・スカベンジャーとしては、ビタミンCの誘導体の2-0-オクタデシル・アスコルビン酸(CV-3611)を用いた。 C3H/Heマウスの自然発癌率および腫瘍死までの平均生存日数はそれぞれ雌21.7%、645.2日、雄44.4%、607.4日(対照)であったが、CV-3611 5mg/kgを10回皮下投与すると発癌率は雌で11.8%に低下し、生存日数は710.5日と延長の傾向が認められた。CV-3611投与の雄では発癌率は40.4%と大差なかったが、生存日数は700.0日と有意に延長した(P<0.05).雌マウスにCDDP2mg/kgを10回腹腔内投与すると発癌率は86.7%と自然発癌率より有意に増加し(P<0.05)、生存日数も対照に比較し539.5日と有意に短縮した(P<0.05)。CDDP投与の雄マウスでも発癌率は57.1%と増加し、生存日数は565.5日と短縮の傾向が認められた。CV-3611 5mg/kgの皮下投与とCDDP2mg/kgの腹腔内投与をそれぞれ10回ずつ交互に行うと、雌マウスの発癌率は61.1%とCDDP単独投与に比較し低下の傾向を示し、生存日数は664.5日と有意に延長した(P<0.05)。CV-3611とCDDP併用投与の雄マウスではCDDP単独投与に比較し発癌率は33.3%と低下の傾向が、生存日数は668.4日と延長の傾向が認められた。なお各実験群のマウスの匹数は14匹から27匹であった。 以上の結果より、CDDPはマウスの発癌率を高め、腫瘍死までの生存日数を短縮する。そしてCV-3611はマウスの自然発癌率を低下させ、腫瘍死までの生存日数を延長するのみならず、CDDPによる誘発腫瘍の発生率を低下させ、腫瘍死までの生存日数を延長すると考えられた。
|