1993 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ波凝固の不整脈外科への応用に関する実験的研究
Project/Area Number |
04670819
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
渡辺 弘 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (10240516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
建部 祥 医学部, 附属病院, 医員
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Keywords | マイクロ波 / 不整脈外科 / 全層性アブレーション |
Research Abstract |
平成5年度は平成4年度の急性実験の結果を受け、マイクロ波凝固を心臓に対して適応した場合の慢性期の安全性を中心に検討を行った。実験には体重9〜13kgの雑種成犬を用いた。急性実験の結果より、電極の形状は直径0.7mm、長さ1cmの針電極、出力は50W、通電時間は30秒に設定し、常温拍動下に左室の自由壁に対してアブレーションを行った。マイクロ波凝固の1、3、7、14日、1、3、6、13カ月後に各1頭ずつ慢性期の検討に供した。プログラム刺激を行い、心室頻拍の誘発を試み、凝固部位が不整脈の新たな起源になるか否かにつき検討した。その後、10%ホルマリンで固定し、肉眼的観察を行った後、光顕により組織学的に検討した。 マイクロ波凝固1、3日後では出血を伴う心筋壊死が認められ、1週間後では壊死に陥った心筋の周囲にマクロファージ、リンパ球、線維芽細胞、新生毛細血管からなる肉芽組織が出現した。2週間後では変性領域の周囲の肉芽組織は中心部に広がった。1カ月後では変性領域の中心部を残して壊死心筋の吸収が進み、辺縁部では膠線維に置換された。3カ月では壊死心筋は膠原線維に完全に置換されて線維性瘢痕となり、一部では脂肪組織の浸潤が認められた。13カ月後のマイクロ波凝固部位は周辺と境界明瞭な白色の硬い瘢痕組織で、組織学的には脂肪浸潤を伴う瘢痕組織であった。全経過を通じて、マイクロ波凝固部位に心室瘤の形成は認められなかった。遠隔期の電気生理学的検査では心室頻拍は誘発されなかった。 以上の結果より、マイクロ波凝固は左室壁の全層性アブレーションが容易に行え、心臓破裂・心室瘤形成等の合併症を認めず、遠隔期に催不整脈性がなく、不整脈外科の補助手段として応用可能と考えられた。
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