1993 Fiscal Year Annual Research Report
経頭蓋超音波ドプラ法(TCD)の精度向上のための実験的研究
Project/Area Number |
04670864
|
Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
高家 幹夫 島根医科大学, 医学部, 講師 (00221367)
|
Keywords | 経頭蓋超音波ドプラ / 頭蓋内圧亢進 / 人工血管モデル |
Research Abstract |
近年,頭蓋内主幹動脈の血流を経皮・経頭蓋的に測定できる経頭蓋超音波ドプラ(TCD)が開発され,各種病態下の脳循環動態評価手段として広く応用されつつある。しかし,TCDは血管径や血流を直接に観察できないために定量性に欠け,実際の血流量に関しては不明な点も多い。そこで本研究では,頭蓋内圧の変動などが脳循環動態に及ぼす影響を臨床例やモデル実験で観察し,TCDの定量性や信頼性を向上させるための検討を行った。臨床例では,健常人の中大脳動脈,内頚動脈,総頚動脈の血流速度をTCDで計測しPC-MRAで測定した同部位の血流速度の絶対値と比較した。その結果,各動脈で両者の間に正の直線相関が得られ,定性的評価法としてのTCDの信頼性を認めた。実験では,人工血管を貫通させた内圧可変式模擬頭蓋腔モデルを作製し,このモデル血管に拍動流を負荷したさいの流速をTCDで測定し,末梢端での単位時間当たりの流出量との関係を求めた。そして,頭蓋内圧を上昇させて潅流圧を減少させたさいの脈波形,pulsatility index(P.I.)および流量の変化を観察し3者の関係を調べた。その結果,1.頭蓋内圧の増大に伴いドプラ脈波形は急峻化し,sharp wave,systolic flow,to-and-fro,spiky flowそしてno flowの順に変化した。2.systolic flow,to-and-fro,no flowの出現する時期はそれぞれ拡張期潅流圧,平均潅流圧そして収縮期潅流圧の陰転する時期にほぼ一致した。3.末梢抵抗を反映するP.I.は各脈波形段階で有意に増加した。4.単位時間当たりの流量は各脈波形の段階毎に有意に減少し,to-and-froの段階では無負荷の時と比べ約95%以上の減少を示した。 以上の結果から,頭蓋内圧が著しく亢進した状態で観察されるTCDのto-and-fro,spiky flowやno flowの各パターンは有効脳血流が得られない状態を反映していると考えられた。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 高家幹夫: "脳死の脳循環" 救急医学. 16. 1075-1077 (1992)
-
[Publications] 高家幹夫: "頭蓋内圧亢進とTCDフローパターン変化-脳死判定におけるTCDの有用性の検討-" 頭蓋内圧研究会報告集. 73-79 (1992)
-
[Publications] 高家幹夫: "phase contrast magnetic resonance angiographyによる脳血管障害の病態解析" 日本バイオレオロジー学会誌. (印刷中).
-
[Publications] Takaya M: "Recent Advancement in Neurosonology" ed.by Oka M,et al.Excerpta Medica, 5 (1992)