1992 Fiscal Year Annual Research Report
クモ膜細胞と脳腫瘍細胞との"負"の情報伝達物質の研究
Project/Area Number |
04670865
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
竹下 岩男 九州大学, 医学部, 講師 (10117153)
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Keywords | グリオーマ細胞 / クモ膜細胞 / 抑制因子 |
Research Abstract |
くも膜細胞の培養:開頭術の際に摘出できる、ヒトくも膜の培養を試みた。切除できるくも膜は、量的にかなりの制限を受け、しかもplatingには難渋をきわめ、いまだ成功していない。そこで新生仔ラットのくも膜を実体顕微鏡下に剥離し、細切、platingした。in vitroで容易に増殖するため、継代早期に凍結保存し適宜使用している。髄膜腫細胞の培養:髄膜腫はくも膜細胞を起源としており、正常細胞としての機能もある程度はもっているものと思われる。そこで3種類の髄膜腫を培養して凍結保存し、適宜使用している。コントロールとして、一例で皮膚由来の線維芽細胞を培養した。 細胞増殖測定:これには、MTTによる生細胞染色発色法を用いた。グリオーマ細胞(KNS81)を96ウエル、マイクロプレートに培養した。一定期間血清を含まない培養液で培養後、MTT 5mg/mlの50μlを各ウエルに添加し、37℃、2時間静置した。マイクロプレートを逆さまにして液を捨てて、一晩乾燥した。鉱物油(light mineral oil;Sigma)で反応色素を溶解し、マイクロプレートリーダー(BIO-RAD,Model3550)、波長595nm/655n mreferenceで吸光度を測定した。 培養液の選択:牛胎仔血清を含まない培養液での、KNS81の増殖度、生存率をMTT法にて測定した。MEM,DMEM,FIO,F12,F12-DMEMの1:1の混合液(F-D)のうちでは、F-D液での細胞生存率がよかった。従って、増殖抑制因子の検索にはF-D液を使用することとした。 細胞増殖抑制因子の検索:1)牛胎仔血清添加培養液。いずれの細胞からもKNS81に対しては増殖促進的に作用し、抑制因子の存在は示唆されなかった。2)牛胎仔血清無添加培養液。細胞により多少の差があり、ラットくも膜細胞、皮膚線維芽細胞は、他の細胞に比較して増殖因子活性がやや低い傾向にあった。3)混合培養による培養液。髄膜腫細胞との混合培養において、ある条件下での培養液は増殖抑制的に作用した。現在、増殖抑制が常時生じる条件を検索中である。 混合培養液の中には、グリオーマ細胞を抑制する"負"の情報伝達物質の存在が示唆され、当初の研究目的に一歩前進した。
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Research Products
(1 results)