1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04670871
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Research Institution | Saitama Medical School |
Principal Investigator |
長島 親男 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (40049771)
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Keywords | 脊髄再生 / 脊髄損傷 / 大網移植 / 脊髄血管 / 自己調節機構 / レーザー・ドップラ血流計 |
Research Abstract |
手術用顕微鏡を用い猫の胸腰髄を切断し、その部を有茎の大網で覆い(1)損傷脊髄と移植した大網との接着面の組織学的検討、(2)レーザー・ドップラ血流計を用いての脊髄損傷前・後における脊髄血管の自己調節能の検討、(3)horseradish peroxidase(HRP)による移植部位における神経線維連絡の有無、さらに(4)ラット大網に含まれる成分の生化学的解析を行い、次の結果を得た。(1)損傷脊髄と移植した大網との接着面の光顕的所見:術後3日目の猫では、大網移植部に線維性被膜の形成は観察されなかったが、術後64日目の猫では、大網移植部に新生血管に富む密性結合組織である線維性被膜が形成され、その断端は硬膜と滑らかに連続していた。(2)脊髄血管の自己調節能の検討:損傷前の脊髄血流量は、ほとんどの例で、アンギオテンシンIIおよびトリメタファンによる血圧の上昇ならびに下降に伴い、増加および減少し、脊髄血管に自己調節能があるという従来の報告と異なる結果を得た。一方脊髄損傷加大網移植猫では、移植後64日目の猫では自己調節能の存在が示唆されたが、移植後約11ケ月後の猫では脊髄血流は血圧依存性であり、自己調節能の存在は証明できなかった。(3)HRPによる神経線維連絡の検討:脊髄損傷加大網移植猫において、移植部位より尾側の脊髄にHRPを注入したが、移植部位より頭側にHRPは認められず、損傷部における神経線維連絡の存在は確認できなかった。(4)大網に含まれる成分についての生化学的解析:大網による脊髄損傷治癒の生化学的機序の解明の手始めとして、神経成長因子(NGF)の関与の有無についてノザーンブロット法による解析を行った。しかしながら、25mugのラット大網poly(A)^+mRNAを使用してもジゴキシゲニン標識NGFプローグに対する陽性反応は認められなかった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Chikao Nagashima: "Experimental omento-myelo-synangiosis" Surgical Neurology. 38. 411-417 (1992)
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[Publications] Chikao Nagashima: "Magnetic resonance imaging of human spinal cord infarction" Surgical Neurology. 35. 368-373 (1991)
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[Publications] 長島親男: "脊髄の再生:附、微小血管吻合を伴う脊髄への大網移植術" 脊椎・脊髄ジャーナル. 4. 879-886 (1991)
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[Publications] 長島親男: "損傷脊髄の機能回復ならびに血行改善についての検討-脊髄への大網移植術(第3報)-" パラプレジア医学会雑誌. 5. 130-131 (1992)
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[Publications] 長島親男: "脊髄伝導路の再生を目的とした手術法-末梢神経線維束、Scheann細胞、微小血管吻合を行った大網を損傷脊髄に移植する方法-" パラプレジア医学会雑誌. 6. 106-107 (1993)