1992 Fiscal Year Annual Research Report
尿路性器癌の浸潤・転移機構におけるIV型コラゲナーゼ、TIMPの関与
Project/Area Number |
04670964
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
香川 征 徳島大学, 医学部, 教授 (40035738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 範明 徳島大学, 医学部, 助手 (60219748)
金山 博臣 徳島大学, 医学部, 助手 (10214446)
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Keywords | 膀胱癌 / 腎細胞癌 / 浸潤転移 / マトリックスメタロプロテイナーゼ / TIMP / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
【目的】泌尿器癌において、基底膜や間質を構成するラミニン、コラーゲン等を分解するマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMPs)とそのインヒビター(tissue inhibitors of metalloproteinases,TIMPs)の遺伝子発現を調べ、浸潤転移に及ぼす影響について検討した。【方法】膀胱癌患者22名、腎細胞癌患者16名より手術的に摘出した組織からRNAを精製し、ノーザンブロット分析、ストロットブロット分析により各組織における遺伝子発現の強度を調べ、臨床像病理組織像と比較解析した。間質コラーゲナーゼ(MMP‐1)、72kDタイプIVコラゲナーゼ(MMP‐2)、ストロメライシン1(MMP‐3)、Pump‐1(MMP‐7)、92kDタイプIVコラゲナーゼ(MMP‐9)、ストロメライシン2(MMP‐10)、ストロメライシン3(MMP‐11)およびTIMP‐1、TIMP‐2について検討した。用いたプローブは、RT‐PCR(reverse transcriptase polymerase chain reaction)法により得た。【結果】膀胱癌では、今回検討した7種類のMMPのうちMMP‐2の強い遺伝子発現が確認され、さらに異型度の強い進行した浸潤性の癌に強い発現を認めた。また、そのインヒビターであるTIMP‐2との比を見ると、より浸潤性の強い癌でMMP‐2/TIMP‐2比が高かった。腎細胞癌では、転移巣の検討ができた1例において、原発巣でMMP‐2、MMP‐9、MMP‐11の高い発現がみられ、その転移巣では更に2〜3倍の強い発現を認めた。 【まとめ】膀胱癌の浸潤にはMMP‐2の関与が強く示唆され、さらにそのインヒビターであるTIMP‐2とのバランスが重要であることが考えられた。また、腎細胞癌の転移には、MMP‐2、MMP‐9、MMP‐11の関与が示唆された。
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