1992 Fiscal Year Annual Research Report
嗅上皮性嗅覚障害の病態に関する臨床的ならびに実験的研究
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04671048
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
愛場 庸雅 大阪市立大学, 医学部, 助手 (10192840)
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Keywords | 嗅上皮 / 神経成長因子(NGF) / 免疫組織化学 / 加齢 / 再生 / 性差 / ウイルス |
Research Abstract |
(1)ウイルス性嗅覚障害の原因ウイルスについて:ウイルス性嗅覚障害の発症の季節による変動を調べ、上気道炎を起こすウイルスのうちでも、エンテロ、アデノ、パラインフルエンザなどが、原因として可能性が高い事をつきとめた。そこでこれらの内の幾種類かのウイルスに的を絞って、血清学的に検索をすすめてゆくこととした。 (2)嗅上皮における種々の神経活性物質の存在について:神経成長因子 Nerve Grouth Factor(NGF)及びそのreceptorのラット嗅上皮における存在とその分布を、免疫組織化学的手法を用いることによって明らかにし、嗅上皮の維持、再生におけるNGFの関与の可能性を明らかにした。今後、種々の生理的並びに病的条件下での変動を観察することにより、これらの意義を明らかにするとともに、他の神経ペプタイドについても同様の検索を継続する。 (3)嗅上皮における加齢現象について:幼若動物、高齢動物の嗅上皮を走査電子顕微鏡及び光学顕微鏡で観察し、嗅上皮が加齢とともにその面積を減少してゆくのは、その辺縁部における嗅上皮の呼吸上皮化によるものであること、及び高齢動物においては、嗅細胞の数が減少するとともに、その母細胞である基底細胞の密度も減少し、嗅細胞の再生能力の低下がみられることを明らかにした。また前記のNGFは中枢神経系の老化と密接な関連を有する物質とされているが、高齢の動物の嗅上皮においてもその存在を証明した。今後、この点について更に詳細な研究を、主として免疫組織化学的手法を用いることによって進めていく予定である。 (4)嗅覚障害の性差を調べた結果、特定の原因では有意に女性に大い事が判明した。これを基に今後嗅覚と、性ホルモンとの関連について、基礎的及び臨床的に検索をすすめることとした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 愛場 庸雅: "嗅上皮における神経成長因子(NGF)の意義" 日本耳鼻咽喉科学会会報. 95. 1073- (1992)
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[Publications] 愛場 庸雅: "嗅覚障害の性差に関する臨床的検討" 日本鼻科学会誌. 31. 243- (1992)
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[Publications] 愛場 庸雅: "ラット嗅上皮におけるNGF及びNGF receptorの局在について" 第25回味と匂いのシンポジウム論文集. 25. 33-36 (1991)
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[Publications] 愛場 庸雅: "嗅覚障害治療中に出現する異常嗅感についての臨床的検討" 日本鼻科学会誌. 30. 418- (1991)
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[Publications] 愛場 庸雅: "嗅上皮における加齢の影響" 日本鼻科学会誌. 29. 97- (1990)
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[Publications] 愛場 庸雅: "感冒罹患後の嗅覚障害の原因ウイルスに関する疫学的検討" 日本耳鼻咽喉科感染症研究会会誌. 9. 23-28 (1991)