難治性網脈絡膜炎の分子生物学的および免疫組織化学的研究

1993 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 04671083
• Research Institution: Keio University
• Principal Investigator: 鈴木 参郎助 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (40162945)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 真島 行彦 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (40157186) ; 安藤 靖恭 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90193119)
• Keywords: 網脈絡膜炎 / ウイルス / 分子生物学 / 免疫組織化学

Research Abstract

1.網脈絡膜炎の臨床的解析について
ヘルペスウイルス性網脈絡膜炎である桐沢・浦山ぶどう膜炎症例では、急性期にはPCR法にりウイルスDNAが検出されるが、抗ヘルペス剤の投与や急性期を過ぎた場合は眼内液抗体価は高値であったがPCR法検出感度は低かった。一方、同じヘルペス群ウイルスであるサイトメガロウイルス網膜炎症例では眼内液抗体価は低値であったが、PCR法によりウイルスDNAが検出されている。このことは、臨床診断上、しばしば用いられる前房水の検索の限界と臨床上の解釈において留意すべき点であることがわかった。臨床症例より得られる検体を増やし、さらに検索中である。
2.実験的ウイルス性網脈絡膜炎の解析について
実験的ウイルス性網脈絡膜炎の作成方法としておこなっている逆行性感染、視中枢へのウイルスの接種からは十分な結果を得ていない。すなわち、実験動物に生じるウイルス性髄膜炎の発生から実験動物の長期生存が得られないこと、および、逆行性感染による網脈絡膜炎の発生時期が多様であるため、ウイルス性網脈絡膜炎の発症経過を十分にとらえることができていない。実験動物の数を増やし、今後も検討する予定である。また、PCR法の検出はウイルス性網脈絡膜炎の比較的早期にのみ検出されるのに対し、眼内液における抗体産生は眼局所のおいて長期間持続するという臨床所見を解明するために眼局所におけるウイルスに対する免疫反応の経過についても検討中である。