1994 Fiscal Year Annual Research Report
難治性網脈絡膜炎の分子生物学的および免疫組織化学的解析
Project/Area Number |
04671083
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Research Institution | KEIO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
鈴木 参郎助 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (40162945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐賀 正道 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00245557)
成田 正弥 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20237613)
安藤 靖恭 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90193119)
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Keywords | 網脈絡膜炎 / ぶとう膜炎 / 分子生物学 / 免疫組織化学 / ヘルペスウイルス |
Research Abstract |
1.網脈絡膜炎の臨床的解析について 水痘・帯状ヘルペスウイルス性網脈絡膜炎には、健常者に発生する桐沢・浦山ぶどう膜炎(急性網膜壊死症候群)と免疫抑制状態にある患者に日和見感染として発生する急性進行性網膜外層壊死があり、同じ水痘・帯状ヘルペスウイルス性網脈絡膜炎でも病態の異なることが明らかとなった。健常者における診断においては、前房水などの眼内液のウイルス抗体価が診断上有用であったが、後天性免疫不全症候群などの日和見感染では、眼内液、血清の抗体価の変化は診断上有効ではなく、むしろPCR法によるウイルスDNAの証明が有用であり、健常者では眼内液の採取時期によりウイルスDNAの検出率は影響を受けるが、免疫抑制状態にあることから、ウイルスDNAの検出は容易となっている可能性が考えられた。また、サイトメガロウイルス網脈絡膜炎患者では、抗ウイルス剤ガンシクロビル治療による病態の改善とともに、ウイルスDNAは検出されなくなった。 2.実験的ウイルス性網脈絡膜炎の解析について 白色家兎を用いた実験的単純ヘルペスウイルス網脈絡膜炎におけるウイルス抗体価とPCR法によるウイルスDNAの経時的検索から、PCR法による検出は感染後極めて早期のみ可能であり、ウイルス抗体価、抗体率が陽性となる時期にはPCR法による検出は不能であった。このことは、生体のウイルスに対する防御反応が速やかに行われており、液性免疫の関与までに時間差があることを示していると考えられた。
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