1992 Fiscal Year Annual Research Report
発達過程の有郭乳頭および味蕾の細胞接着分子の免疫組織化学
Project/Area Number |
04671103
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
武田 正子 東日本学園大学, 歯学部, 教授 (40001953)
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Keywords | 味蕾 / 神経細胞接着分子 / N-CAM / 免疫電顕 / 味細胞 / 上皮細胞接着分子 |
Research Abstract |
細胞接着分子(CAMs)は、細胞膜にある糖蛋白で、形態形成過程における細胞間の特異的認識、接着に働く。このうち神経細胞接着分子(N-CAM、Neural cell adhesion Molecule)と、上皮細胞接着分子のUvomorulin(L-CAMと同義)の発現を胎生末期から生後早期、および成熟期のマウス舌有郭乳頭味蕾について免疫組織化学的方法の酵素抗体法間接法で調べた。 抗N-CAM抗体に対して、成熟期では、結合組織と上皮内の神経線維の他に、細長い味蕾細胞のうちの一部の細胞が陽性を示した。電顕では、味蕾細胞のうち、神経終末と求心性シナプスを形成するIII型細胞の膜全体が抗N-CAM抗体陽性を示した。神経線維の膜もすべて陽性であった。味蕾のI型、II型およびIV型細胞は陰性を示した。 発達過程では、生後0日目に初めて、乳頭背側部の上皮内に未熟な味蕾が出現し、抗N-CAM抗体陽性の味蕾細胞が見られた。電顕では、この時期の味蕾内にすでに小型の求心性シナプスを持つIII型細胞が分化していることから、N-CAM陽性細胞はIII型細胞に相当するものと考えられる。生後2日目以降、側溝に面した上皮内に味孔を持つ味蕾が出現し、その中にN-CAM陽性細胞が見られた。 抗Uvomorulin抗体に対して、成熟期では味蕾のほぼすべての細胞が陽性を示した。特に味蕾頂上部で強い反応を示したが、その他の部位は周囲上皮細胞に比べ、反応がやや弱かった。発達過程においても、生後0日目以降、すべての味蕾細胞が、周囲上皮と同じく陽性を呈した。 以上より、Uvomorulinは、味蕾細胞同士の接着に、N-CAMは、III型細胞(味覚受容細胞)が、神経終末と求心性シナプスを形成するさいに働くものと考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Takeda,Y.Suzuki,N.Obara and Y.Nagai: "Neural cell adhesion molecule of taste buds." J.Electron Microscopy. 41. 375-380 (1992)
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[Publications] 武田 正子,鈴木 裕子,小原 伸子,永井 泰子: "発達過程のマウス味蕾の細胞接着分子" 解剖学雑誌. 67. 559- (1992)
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[Publications] M.Takeda,Y.Suzuki,N.Obara and Y.Nagai: "Neural cell adhesion molecule of taste bud cells." J.Electron Microscopy. 40. 258- (1991)