1993 Fiscal Year Annual Research Report
内毒素誘発性歯髄微小循環障害の発生機序に関する基礎的研究
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04671121
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
平藤 雅彦 北海道医療大学, 薬学部, 助教授 (20142987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 壽 東北大学, 歯学部, 教授 (80014025)
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Keywords | 内毒素 / 歯髄 / 循環障害 / 虚血 / 過酸化脂質 / アデニンヌクレオチド |
Research Abstract |
本研究はエンドトキシンの全身投与が歯髄組織にどのような微小循環障害を引き起こすかを検討し、さらにその発生機序を生化学薬理学的および組織学的手法を用いて解析、検討する事であった。前年度の研究により、ラットにエンドトキシンを静脈内投与すると歯髄組織内過酸化脂質濃度が上昇し組織障害を引き起こしているとが明らかとなった。この機序として、組織循環障害による虚血性変化によりATPなどのアデニンヌクレオチドの分解が促進し過酸化脂質が増加する可能性や、組織障害により組織内に浸潤した白血球が活性酸素を放出したため過酸化脂質が上昇する可能性が考えられた。従って、今年度なエンドトキシン投与による歯髄組織内のアデニンヌクレオチド濃度の変化を検討して、循環障害の有無を検討し、またエンドトキシン投与後の歯髄組織および象牙質形成障害を組織学的に観察した。ラットにエンドトキシン2mg/kg静脈内投与を行い、4時間後の歯髄組織内アデニンヌクレオチド含量をHPLCで測定したところ、AMPの有意な上昇と、ADP,ATPの有意な減少が認められ、組織内のエネルギー状態を示す指標であるエネルギーチヤージをそれらの値より求めると著明に減少して虚血性障害を起こしていることが示唆された。さらに、組織学的観察を行ったところ、エンドトキシン処理により歯髄組織細胞の核の変形、萎縮が認められた。しかし、炎症細胞浸潤や、血管拡張などの炎症性組織所見は認められなかった。以上のことより歯髄組織はエンドトキシンにより虚血性の組織障害を受けることが示唆された。本年度はさらに、微小循環障害機序を考えるうえで重要な血管内皮細胞と血小板、好中球との相互作用についても検討し、好中球の活性化に依存して内皮細胞への血小板粘着が生じ、これには血小板のcGMPレベルの減少が伴っていることを明らかにした。この詳細な機序解明が今後の課題である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Hirafuji,M.: "Antagonism of platelet-activating factor-induced in-crease in cytosolic calcium concentration in human…." Japan.J.Pharmacol.58. 231-241 (1992)
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[Publications] Igari,K.: "Relatioship between dentine formation and prostaglan-din I2 biosynthesis in the dental pulp of rats…." Ped.Dent.Res.2. 103-107 (1992)
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[Publications] Hirafuji,M.: "Roles of prostacyclin,EDRF and active oxygens in leukocyte-dependent platelet adhesion to endothelial…." Brit.J.Pharmacol.109. 524-529 (1993)
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[Publications] Sakai,R.: "Activin enhances osteoclast-like cell formation in vitro." Biochem.Biophy.Res.Commun.195. 39-46 (1993)
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[Publications] Igarashi,K.: "Role of endogenous PGE_2 in osteoblastic functions of a clonal osteoblast-like cell,MC3T3-E1." PGs,LTs,Essent.Fatty Acids. (in press.).