1994 Fiscal Year Annual Research Report
ニフェジピンの血圧および歯周組織におよぼす影響に関する実験的研究
Project/Area Number |
04671167
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Research Institution | IWATE MEDICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松丸 健三郎 岩手医科大学, 歯学部, 助教授 (40048327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 教修 岩手医科大学, 歯学部, 助教授 (40048476)
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Keywords | ニフェジピン / 歯肉肥大 / 線結紮 / ビ-グル犬 / 歯石沈着 / 毛細血管の拡張 |
Research Abstract |
我々は、先に動物4頭を用い、局所因子として結紮線を用い、同量の薬物投与での歯肉変化を観察した。すなわち、右側は歯石沈着下で、左側は健全歯肉下で実験を開始した。上顎左側犬歯部に直径0.25mmの矯正用結紮線を装着した。薬剤は、アダラートを2頭に6mg/kg(60mg/d)、1頭に4.4mg/kg(40mg/d)を18週まで投与し、対照には投与しなかった。投与開始後,60mg投与群の1頭と40mg投与例には口腔清掃を継続し、60mg投与群の他の1頭には口腔清掃を中止し、対照例でも口腔清掃を継続した。上顎左右側犬歯部については、頬側面における歯冠側、近遠心側、頬側の形態計測をおこなった。今回は、実験群3頭について、64週まで観察した。歯肉の増大は、歯冠方向や近遠心方向より頬側方向で、すなわち、歯肉の厚みの増加があきらかであった。しかし、18週までと比べて歯肉の形態的変化は、微増を示すにとどまっていた。また。薬物投与量による差はとくに得られなかった。前回の18週までの結果と、今回の18週〜64週までの結果をまとめてみると、ヒト極量つまり、ヒトの3倍程度のニフェジピン投与量であっても実験的に動物に肉眼的にあるいは組織学的に歯肉肥大を惹起させることが可能であること、また、他方、線結紮あるいは歯石沈着だけで歯肉肥大を惹起させることができなかったことも、この薬剤の歯科領域に及ぼす影響を軽視できないことを示唆するものであった。ヒト極量程度の投与量で歯肉肥大の実験モデルを確立するためには、結紮線のような持続性の局所刺激を加えながら、18週程度の期間を要することが判明した。今後は、局所因子の他に全身的因子(全身の抵抗力を減弱させるような因子)を加味し、この状態で薬物を投与した場合の歯周組織に対する影響検索も必要であろうと考えている。
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