1993 Fiscal Year Annual Research Report
北九州曽根毒ガス弾製造所旧従業員の健康障害に関する研究
Project/Area Number |
04671395
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
重信 卓三 広島大学, 保健管理センター, 教授 (30034078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保澤 総一郎 広島大学, 医学部・附属病院, 助手 (20238728)
阿部 和弘 広島大学, 保健管理センター, 助手 (80184208)
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Keywords | 毒ガス傷害者 / 曽根毒ガス弾製造所 / 毒ガス充填作業 / 慢性気管支炎 / 悪性腫瘍 / 毒ガス後遺症 / 毒ガスによる皮膚傷害 |
Research Abstract |
継続研究2年目の本研究は,昨年度に引き続き同様の健康診断を実施し,健康調査・死因調査を継続した。平成5年度の健康診断は,8月20・21日に実施したが,呼び出し対象者は前回のものを除いた残りと,新規登録者を加えた181名(男98名,女83名)である。 今回の健康診断受診者は,男80名,女83名の合計163名で受診率は90.1%であったが,女子は100%であった。男は福岡県以外のものが多く,台風と重なったために全体としては前回の受診率より約5%の低下であった。 今回の受診者の男80名の平均年齢は70.5±3.8歳,女83名のそれは69.6±3.5歳であり,前回とほぼ同じ年齢層で,最高齢は男84歳,女81歳,下は男65歳,女62歳であった。これらの工場就業時年齢や勤務期間についても前回とほぼ同じであった。 健康診断の結果については,昨年度と特に変わった所見は認められなかったが,ただ,男の貧血症例が一般の検診に較べて多いように思われた。問題の慢性気管支炎については研究報告書においてまとめて報告するが,曽根の有病率は一般住民のそれに較べて非常に高いものであった。 健康調査では,比較対象資料として適当なものがないが,忠海症例で同じ調査を行っているのでそれと比較すると,既往歴においては忠海症例に結核性疾患がやゝ多いようであったが,他疾患では余り違いはなかった。現病歴においては,忠海症例に較べて元気なものはやゝ少なかったが,何らかの治療中のものはほぼ同じであった。 死因調査では,悪性腫瘍による死亡が50%以上を占めているのが注目され,胃癌の14例に対し,肺癌の11例は多いように思われ,今後の収集・検討が必要と思われた。
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