1993 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性球状赤血球症と赤血球膜4.2タンパクとの関係
Project/Area Number |
04671438
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
井上 文英 琉球大学, 医学部, 助教授 (10056947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 玲子 琉球大学, 医学部, 教務職員 (10201782)
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Keywords | 遺伝性球状赤血球症 / バンド4.2タンパク / 赤血球膜 / ヒト / 溶血性貧血 |
Research Abstract |
遺伝性球状赤血球症(HS)のバンド4.2タンパクが特異的に欠損している原因には二つ考えられる。一つはバンド4.2が生合成過程ではじめから正常に造られていない場合、もう一つは、正常に造られているにも関わらず赤血球膜のサイトプラスミツクドメインで他の膜タンパクとの結合能の低下により、結果的にバンド4.2の欠損となる可能性が考えられる。この二つの仮定ではじめの仮説が成立するかどうかは、HSの赤血球自体にバンド4.2タンパクが欠損しているために、分子生物学的な手法でない限り解決できない。そのため、HSのバンド4.2タンパクの欠損症の網状赤血球を採取してmRNAを抽出して逆転写酵素を作用させた。得られたcDNAを用いてPCRを行って、現在遺伝子解析を行っている。一方、サイトプラスミックドメインでのバンド4.2タンパクの結合能の低下については、バンド3タンパクの結合サイトについて検討した。実験方法は正常ヒト赤血球膜よりバンド4.2タンパクを抽出して精製した。このバンド4.2タンパクをボルトンハンター試薬で放射性ヨウ素で標識した。一方、正常とHSの赤血球膜を調製してバンド4.2タンパクを持たない内外反転膜を調製した。この内外反転膜に先の標識したバンド4.2タンパクを室温で反応させてバンド4.2とバンド3の再構築させた。正常ヒトの場合の全標識バンド4.2に対する再構築されて取り込まれた比をパーセントで表示した値をHSのその値と比較した。その結果、正常と沖縄のHSのバンド4.2タンパク欠損症の2症例では有意の差は認められなかった。このことは沖縄のHSはバンド3タンパクのバンド4.2タンパクの結合サイトは正常であることを意味している。さらに、バンド3に関して、バンド4.2を含まない内外反転膜を調製して、これにトリプシンを作用させた後、SDS-PAGE後、ウエスタンブロットして、抗ヒトバンド31gGのポリクロナル抗体を作用させ、ケミルミネッセンスで加水分解産物を調べた。その結果HSのバンドは正常であった。このことは、バンド3の加水分解部位も正常だったことを意味する。現在バンド4.2タンパクのポイントミュウーテイションについても検討中です。
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