1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04671496
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
藤森 新 帝京大学, 医学部, 助教授 (40142450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岡 法子 帝京大学, 医学部, 教務職員
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Keywords | HPRT / Lesch-Nyhan / mutation / hot spot |
Research Abstract |
Hypoxanthine phosphoribosyltransferase(HPRT)欠損症には2種類の病型がしられている。完全欠損症では重症の精神・神経障害をきたすLesch-Nyhan症候群がおこり、部分欠損症では痛風が主症状となる。わが国においては50余例のLesch-Nyhan症候群の存在が掌握されているが、その遺伝子解析は十分に行われていない。我々は日本の諸施設より遺伝子分析の依頼を受けたLesch-Nyhan症候群の6例と部分欠損症1例についてRT-PCR法を用いて変異遺伝子の解析を行い、6例において遺伝子異常を明かにした。Lesch-Nyhan症候群の6例ではノンセンス変異2例(血縁関係のない患者に全く同じ変異C_<151>→T(HPRT Fujimi,HPRT Kanagawa)が同定された)、ミスセンス変異2例(G_<419>→A(HPRT Tokyo)、G_<538>→A(HPRT Shinagawa))部分欠失変異(genomic DNA上でexon2と3が欠失(HPRT Adachi))が1例に見られたが、1例では変異を同定することができなかった。部分欠損症の1例はミスセンス変異(G_<472>→T(HPRT Niigata))であった。ノンセンス変異の2例について家族の遺伝子分析を行った結果、HPRT FujimiとHPRT Kanagawaは母の生殖細胞中で生じたnew mutationであることが証明できた。この突然変異は一般的に遺伝子のmutational hot spotと考えられているCGダイマーに起こったものであり、HPRT遺伝子座にもmutational hot spotが存在することが実証できた。ミスセンス変異の1例(HPRT Tokyo)では変異蛋白は産生されており変異部位が基質PRPPの結合部位に生じているために、酵素の立体構造が変化してPRPPとの結合が不能となり酵素活性を失ったものと推察された。HPRT Shinagawaではexon内に生じた単塩基置換によってalternative splicingが生じ2種類の異常なmRNAが産生されている可能性があり、未だ明かでないsplicing mechanismを解明していく上において極めて重要な知見が得られたものと思われる。
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