1992 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺外TSH受容体:遺伝子発現調節機構およびその病態生理的意義
Project/Area Number |
04671500
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
磯崎 収 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (40147400)
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Keywords | TSH受容体 / mRNA / リンパ球 / 線維芽細胞 |
Research Abstract |
1.リンパ球におけるTSH受容体遺伝子発現:正常人、バセドウ病患者、橋本病患者の末梢血より単核球を採取し、1%Phitohemagulutinin(PHA)存在下にて7日間培養し細胞数を増加させた後、各種薬剤添加をして培養を行いmRNAを抽出した。次にReverse Transcriptaseを用いてcDNAを作成し、Polymerase Chain Reaction(PCR)を行いTSH受容体の遺伝子の増幅を行ないTSH受容体mRNAの測定を行った。TSH受容体の細胞外部分及び細胞内部分を増幅するPCR primerを用いて増幅を行ったがTSH受容体に特異的なmRNAの増幅が認められリンパ球にTSH受容体が存在することが判明した。また、Reverse TranscriptionにおいてPCRの3'のprimerを用いることにより定量的PCRを行いTSH受容体mRNAの定量を試みた。正常人、橋本病患者に比較してバセドウ病患者リンパ球においてはmRNAの量が多い傾向が認めら,バセドウ病の進展にリンパ球TSH受容体が何らかの役割を果たしていることが示唆された。次にリンパ球におけるTSH受容体mRNAに対する各種薬剤の影響を検討した。まず、PHAはTSH受容体mRNAを減少させたがTransforming growth factor(TGF)‐bのmRNAを増加させた。TSHによる影響は認められなかった。次に細胞の分化を促進するRetinoic Acid及びPhorbol esterであるPMAにおいても影響が認められなかった。その他、IL‐6,TGF‐b,Endothelinの影響を検討したが影響は認められなかった。 2.線維芽細胞におけるTSH受容体遺伝子発現:まず、正常人皮膚線維芽細胞を用いてリンパ球と同様にTSH受容体mRNAの測定をPCR法を用いて行った。Fetal Calf Serum(FCS)存在下で培養した細胞も、無血清で培養下細胞においてもTSH受容体mRNAは認められなかった。また、TSH,IL‐6,TGF‐b,bFGFによる影響を検討したがTSH受容体mRNAの発現は認められなかった。次に、Pretibial dermopathyの認められたバセドウ病患者1例の患部皮膚線維芽細胞について検討を行ったところTSH受容体mRNAが認められ、線維芽細胞TSH受容体の発現の病態生理的意義が示唆された。 3.Heat Shock Proteinの発現調節機構:バセドウ病患者における後眼窩線維芽細胞およびPretibial dermopathyにおけるheat shock protein70の発現におけるTSH受容体の関与を検討するため、まず甲状腺細胞におけるHSP70遺伝子発現に対するTSHの影響を検討した。TSHの前投与はHeat shockによるHSP70mRNAの増加を抑制することが判明しHSP70遺伝子発現に対するTSH受容体の関与が示唆された。
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