1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04680113
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
椿本 昇三 筑波大学, 体育科学系, 講師 (50180039)
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Keywords | 着衣泳 / 水泳 / 水中安全教育 / 水中けん引抵抗 / 水泳指導法 |
Research Abstract |
今年度は、力学的観点からみた着衣による牽引抵抗について検討した。その結果のまとめは以下のようなものである。 様々な着衣を児童、成人女子、成人男子に対して、流水プールで0.3m/sから1.2m/sの流速での顔上げ、顔つけの牽引抵抗を測定した。0.3m/s程度の遅い流速では浮標が困難なため、低速では浮く技能が重要である。また、0.5m/s以上では、体幹から脚部にかけて浮上し始めるので泳いで前に進むための腕や脚の動作が重要な要素となる。0.5m/sより遅い流速下では、Tシャツ・短パンの抵抗への影響は少ない。トレーナー上下は、流速にかかわらず常に水着より大きな抵抗を受ける。しかし、着衣よりも水面上に顔を上げる抵抗の増加はさらに大きかった。セーター・スカートも抵抗への影響は、トレーナー上下と同様の傾向がみられた。また、児童より成人の方が顕著に0.3m/sで浮標できなかったことにより、成人の浮く技能の重要性が指摘される。速度にかかわらず、セーター・トレーニングズボン、スーツ、カッパ等も水着より大きな抵抗がかかり、1.0m/sでは、水泳選手の推進力を牽引抵抗が上回るので、牽引される姿勢のまま速く泳ぐことは望めない。気密性の低いセーター・トレーニングズボンは、特に、低速での抵抗が大きかった。気密性の高いスーツやカッパは高速になると水が入り込み、抵抗が比較的大きくなった。また、上肢の伸展を妨げる衣服も流速が増すと、抵抗を増やす原因となる。水中安全教育への示唆としては、着衣による泳ぎは、水中牽引抵抗からみると低速では、浮力を利用した浮標技術の習得が重要であり、速いスピードでは泳がない方が安全であると思われる。 来年度の課題は、着衣泳中の運動強度を検討することである。
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