1992 Fiscal Year Annual Research Report
ひじ関節のすばやい等尺性伸展動作の運動制御について
Project/Area Number |
04680123
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
山崎 良比古 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (00024365)
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Keywords | 運動制御 / 肘関節 / 等尺性収縮 / 急速動作 / 関節トルク / 表面筋電図 / 単極導大法 / ヒト |
Research Abstract |
最近、著者は、ヒトの素速い等尺性筋収縮時に表面筋電図を運動点から単極導出し、収縮開始時に2相性の緩徐電位を認め、この電位がアーチファクトではないことを立証した。この研究では、この電位の性質を筋収縮の課題を変えて観察し、どのような収縮の力学的変数と関係があるかを検討し、ヒトの運動制御の特性を明らかにすることを目的とした。5人の健康成人男子を対象にして、収縮を異なった目標トルクまで素速く行う場合(最大等尺性伸展収縮トルクの9、18、36、54パーセント)と目標を一定(36パーセント)にして異なった収縮速度で行う場合について検討した。肘関節の発揮トルクと表面筋電図を上腕二頭筋と上腕三頭筋から記録し、緩徐電位の特続時間とその積分値、発揮トルク及びトルクの変化のピーク値を求めた。その結果、次のことが明らかとなった。 [素速い収縮で目標トルクの振幅を変えた時]主働筋と拮抗筋の両方に緩徐電位が発現し、この電位の持続時間は目標トルクにかかわらずほぼ一定であった。目標トルクの増大に伴い、主働筋の電位振幅はそれに比例して増大したが、拮抗筋のそれは被験者により異なった変化を示した。拮抗筋の緩徐電位は主働筋のそれに対してやや遅れて発現したが、この遅れは目標トルクを変えた時増加する被験者と変化しない被験者とが認められた。目標トルクの増大は収縮速度の増大と比例した。[目標トルクを一定とし収縮速度を変化させた時]主働筋の電位は持続時間が一定で、その振幅は収縮速度に比例して増大した。拮抗筋は筋活動が低下し、緩徐電位は消失した。これらの結果は、素速い肘関節の等尺性収縮が主働筋と拮抗筋のパルス性活動によって制御されていることを示す。目標トルクを素速く達成する時には主働筋のパルス振幅を制御し、それにより収縮速度を変化して実現すると考えられる。拮抗筋のパルス性活動も制御に関与するが、その仕方は被験者によって異なると考えられる。
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