1992 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内で過剰発現された蛋白のオルガネラへの移行と存在量調節機構
Project/Area Number |
04680157
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
青山 俊文 信州大学, 医学部, 助教授 (50231105)
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Keywords | ワクシニアウイルスベクター / ペルオキシソームへの移行 / Zellweger細胞 / アシルCoAオキシダーゼ / 極長鎖脂肪酸アシルCoA脱水素酵素 / mRNAの安定性 |
Research Abstract |
ミトコンドリア局在の蛋白として極長鎖脂肪酸アシルCoA脱水素酵素,ペルオキシソーム局在の蛋白としてアシルCoAオキシダーゼさらに対照としてミクロゾーム局在の蛋白としてチトクロームP450を選び,各々の全長cDNAおよびシグナルペプチドを欠いたもの,適当な部分を脱落させたもの計16種のcDNAについてワクシニアウイルスリコンビナント体を構築した。ラットヘパトーマH4・IIEC3を宿主として発現させたところ,極長鎖脂肪酸アシルCoA脱水素酵素は細胞総蛋白の0.2-0.3%を占める程度に発現されミトコンドリア中に95%以上の蛋白が局在していた。N末側の40アミノ酸を除去したものはミトコンドリアに挿入されず,サイトゾール中で完全に分解された。この蛋白はミトコンドリアに挿入されることが安定化の為の大きな要因であった。ミトコンドリアに挿入後の安定性についてはC末側200アミノ酸が大きな役割をはたしており,C末から180アミノ酸を欠いたものは短時間でミトコンドリア内で分解されてしまう。アシルCoAオキシダーゼに関してはC末端の3つのアミノ酸がペルオキシソーム挿入シグナルである。このシグナルを除去したクローンは発現量が正常のものの1/10程度であった。この両者のmRNA合成量がほぼ等しいことから,ペルオキシソームへの挿入が存在量調節のための最大因子と考えられたが,ペルオキシソームの存在しないZellweger細胞で発現させた場合にも通常細胞の場合と同様に,シグナルを除去したクローンは正常のものの1/10程度の発現量であった。このことは蛋白自体の細胞内での安定性が存在量調節のための大きな因子であることを示唆している。多数の欠落ミュータントクローンの発現結果から,C末付近に欠落を与えるとmRNAの安定性が極端に減少することがわかった。しかし,分子中央部に欠落を与えるとmRNAの安定性は全長分子よりもずっとすぐれているが,蛋白の安定性は著しく低下するという興味深い結果を得た。
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