1992 Fiscal Year Annual Research Report
成長ホルモンによるマウスステロイド16α水酸化酵素の雄特異的発現機構
Project/Area Number |
04680195
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
吉岡 秀文 徳島大学, 工学部, 助教授 (40191548)
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Keywords | チトクロームP-450 / 成長ホルモン / シス-エレメント / 置伝子発現 |
Research Abstract |
成長ホルモンにより調節されているマウスステロイド16α水酸化酵素(P‐450 16α)は,肝において雄特異的発現を示す。これは脳下垂体前葉から分泌される成長ホルモンが,雄ではパルス的分泌をしており,これがP‐450 16αを転写レベルで制御している。成長ホルモンは細胞膜に存在する特異的レセプターを介して刺激が伝達される。しかし,その遺伝子レベルでの分子機構は全く不明である。それゆえ以下のアプローチによりこの遺伝子発現の調節機構を調べた。 第一に,マウス及びラット肝の継代培養細胞又はラット肝の初代培養細胞を用いP‐450 16α遺伝子の5'上流領域を5'方向から漸次欠施させたDNA又は異種のプロモータにP‐450 16α 5'上流領域を結合したDNA,クロラムフェニコールアセチルトランスフェレース(CAT)の遺伝子の上流に置いたプラスミドをトランスフェレクションした。転写開始点から上流にbasalな活性調節に関与するシス-エレメントとして‐30から‐40bpの領域と,‐80から‐100bpの領域を同定した。それぞれに結合する蛋白質を^<32>P‐ラべルしたDNAシス-エレメントをプローブしてゲルシストアッセイ法を用い,ペパリンアガロースカラム及びDEAEセルースカラムクロマトグラフィーを行い,精製を行った。最終的に特異的DNAアフィニティークロマトグラフィーにより,それぞれのDNA結合蛋白質をほぼ均一にまで精製した。 次に,成長ホルモン存在下で,CAT活性が増強するDNAシス-エレメントを決定しようと,転写開始点から-5.5Kbまで詳細に調べ,転写に正に働く領域(‐2Kbpから‐1.8Kbpまで)と負に働く領域(‐5.5Kbpから‐5.0Kbp)同定した。同様にそのDNAを^<32>Pで標識し,ゲルシフトアッセイ法を用いて,特異的DNA結合蛋白を精製している。 第二アプローチとして,マウスの単離核を用い,雌雄によりP‐450 16αのDNase感受性部位が違うかどうかを調べた。-5.5Kbまでの領域を見たところ,-2Kbかから-1.8Kbの領域にDNase感受性部位に差が見られた。この領域はCATアッセイでも転写を活性化する領域であるので,この領域をさらに詳細に検討し,それに特異的に結合している蛋白を精製し,性質を調べている。
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