1993 Fiscal Year Annual Research Report
「自己-他者」問題と偶然性:出会いの偶然性の観点から自我論・他者論を捉え直す試み
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04801002
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Research Institution | Ibaraki university |
Principal Investigator |
守屋 唱進 茨城大学, 教養部, 教授 (90137026)
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Keywords | 自己と他者 / 規範 / 価値 / 価値への眼差し(注視) / 内なる自己との出遇い / 自己反省(self-reflection) / 内面への眼差し / 超越 |
Research Abstract |
過去2年間の研究実績を顧みるならば、「自己と他者の倫理学」を、出遇いと偶然性の概念を起点として「規範」と「価値」というふたつの観点から展開した、と言える。自己は他者との関係において成るものだが、まず発端として他者との出遇いとその偶然性に注目した。この点は九鬼周造の一連の著作に負うところが大きい。次いで、出遇った他者と共生して行くための「律」として「規範」の概念に着目した。この論点はアリストテレスの『ニコマコス倫理学』を参照することによってある程度の具体的な研究実績として結実したと考える。ただし、アリストテレスの「友愛」(フィリア)と「観照」(テオリア)の概念を研究の文脈のどこに位置づけられるか、という点は未解明の課題として残っている。--しかし、自己は他者との「間」として(「人間」として)成るものであるとしても、自己がほかならぬ自己として個別性を獲得するのは、「価値への眼差し(注視)」あるいは「価値への超越」によってである。「価値への眼差し(注視)」という概念についてはI.マードックらの研究を参照することによってある程度の見通しをつけることができたが、当初の研究計画に挙げた文献のうち未読のものも多く、今後に残された部分も多い。この文脈の研究を進めていく過程で、「価値への眼差し(注視)」と不可分のポイントとして、「内なる自己との出遇い」というもう一つの出遇いに思い至り、「自己反省」(Self-reflection)としての「内面への眼差し」の問題が浮上した。ただ、この点については十分な研究成果は得られていない。まして、「価値への超越」という論点に関しては未だほとんど手つかずの状態である。総じて言えば、研究計画の規範論的な側面はかなり具体化したが、価値に関わる側面は相当程度今後の課題として残っている。
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Research Products
(1 results)