1992 Fiscal Year Annual Research Report
明治期お雇い外国人W.E.グリフィスの生涯とその日本研究についての研究
Project/Area Number |
04801038
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
内海 孝 東京外国語大学, 留学生日本語教育センター, 助教授 (50193917)
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Keywords | お雇い外国人 / W.E.グリフィス / 日本研究 |
Research Abstract |
本研究の目的は、(1)グリフィスの生涯の具体的な足跡,(2)グリフィスの日本研究の成立過程について研究することにあった。 そこで、本研究者はグリフィス・コレクションの関係文書群を福井大学付属図書館で収集.解読する作業を中心におこなうべく、国立公文書館・外務省外交史料館・早稲田大学図書館等でも関係資料の所在確認と収集作業をも視野にいれての研究計画をたて、実施にうつしてきた。 当初計画では、福井大学での該文書群の収集作業は業者に委託しておこなうはずであったが、該文書群の不整理と業者委託不可能という事由のために、とくに前者の事情のため、本研究者がみずから一点一点の文書についての複製作業をせざるえなくなってしまった。このことは、本研究者の文書解読についやす作業を圧迫し、同時に資料収集経費をも削減させることになってしまったのである。 したがって、現在、本研究課題を究明すべく書くはずであった印刷論文での研究成果は、まだできあがっていない。だが、ここでは中問報告ながら、研究発表への糸口はみえはじめたので、その見通しをのべてみたい。 まず、グリフィスの最初の日本研究書である“The Mikado's Empire"(1876年)の一部分は、今回の調査結果によれば、かれの大学南校時代における学生への課題作文、たとえば「日本の子供の遊び」ついて書かせ、これらの作文群を要約、利用して、かれの著作の内容に反映させていることがわかった。 つぎは、日露戦争時(1904〜05年)に、グリフィスは戦争の結末が日本に有利に動くように、日本外務省の依頼をうけて、アメリカ各地で日本紹介演説をさかんにおこなっている。このことは、かれの生涯にとって、日本との2度目の大きなかかわりであるといえるだろう。
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