1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04803002
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮崎 元 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (10229833)
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Keywords | 従業員持ち株制度 / ESOP(Employee Stock Ownership Plan) / 勤労インセンティブ / 従業員参加 / 労働生産性 |
Research Abstract |
ESOP研究は税制上優偶措置を施しているアメリカ合衆国に主要文献が集中しており、発表された論文は税制面や会計面からのものが大勢なので、労働経済と企業組織論の両面から理論的な枠組みを組む必要を痛感した。平成4年度の研究は制度と理論的な面からの論文執筆に重点を置いた。平成5年度はライフサイクルとエージェンシーのモデルを応用し、ESOPと従業員参加の経済効果を実証面から分析する計画である。平成4年度の具体的な成果は以下の3点である。(1)「アメリカ合衆国のESOP:企業のESOP設立動機」について“the Economic Cost and Benefit of Esops"の展望論文を執筆した。この論文では企業の資金調達政策としてのESOP株式発行が、一般株式発行、社債や銀行ローンと比較して有利かどうかの判断規準を税制上の利点のみならず機会費用を含めて明確にした。所得税対策としてESOP拠出額を増加させた方が従業員にとって有利(あるいは不利)になる状況も明確にしている。また乗っ取り防止策としてのESOPの功罪も吟味している。(2)「ESOPと職場の従業員参加」について、“Employeeism and the Spirit of Japanese Capitalism"を米国ミネソタ大学でのコンファレンス『比較経済学:理論と実証』で9月に発表報告した。この論文を改訂した“Employeeism,Corporate Governance and the J-Firm"はJournal of Comparative Economics1993年6月特集号に発表されることになっている。(3)「日本の企業のESOP」を検証するためにESOPに関するデータを収集し、その統計処理を開始した。大企業に関する論文は数編あるが、当研究計画では中小企業のESOP分析も進めている。
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Research Products
(1 results)