1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04807032
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
有働 武三 産業医科大学, 医学部, 講師 (20049844)
|
Keywords | プラスミド / シャトルベクター / 大腸菌 / 抗酸菌(ミコバクテリア) / 鑑別性状 / 遺伝子操作 |
Research Abstract |
各種抗酸菌の標準菌株および臨床分離菌株につき,菌種特異的な酵素活性,色素産生,薬剤耐性などの性状試験を実施し,それらの遺伝子のクローニングに適した菌株の選定および遺伝子導入後の酵素活性確認のための培地について検討を行った.この試験を進める過程で,迅速発育菌(M.fortuitum,M.chelonae,M.smegmatis)のほとんどの菌株がウマ,ヒツジ赤血球を溶血する活性を有することが判明した.この活性は主に菌体外(培養濾液中)に認められ,耐熱性,低分子の非タンパク性の成分であることが示唆された.性状試験に用いた菌株よりいくつかのマーカーを選び(カタラーゼ,アリルスルファターゼ,ナイトレートリダクターゼ,β-ラクタマーゼ,km耐性,Tc耐性,溶血性),染色体DNAを抽出,制限酵素処理し,大腸菌プラスミド(pACYC177,pHSG298)とligationした後,大腸菌(k12 C600)への導入を試みたが,いずれのマーカーで試験しても抗酸菌遺伝子の大腸菌細胞での発現を認めるクローン(形質転換株)は得られなかった.抗酸菌遺伝子に由来するプロモーターが大腸菌で認識され難い傾向にあることがうかがえる.抗酸菌への導入が可能なシャトルベクターを用いてライブラリーを作成し抗酸菌(M.smegmatis,M.bovis BCG)で発現させることが不可欠と思われる. 既に構築したシャトルベクターpUT21(pMF129:pACYC177)は19.2kbで,遺伝子のクローニングに用いるベクターとしてはそのサイズが大きく適当でない.現在このベクターの抗酸菌菌体内での複製開始点の存在部位を念頭におきつつ改良(短縮)を進めている.
|