1993 Fiscal Year Annual Research Report
カルシトニン遺伝子関連ペプチドによる低血圧麻酔法の臨床応用のための実験的検討
Project/Area Number |
04807115
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
武田 昭平 昭和大学, 医学部, 助教授 (40102321)
|
Keywords | カルシトニン遺伝子関連ペプチド / 低血圧麻酔 / 血行動態 / ハロセン麻酔 |
Research Abstract |
平成5年度研究課題:カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)による低血圧麻酔の血行動態に及ぼす影響 【方法】雑種成犬を用いペントバルビタール麻酔下で気管内挿管し、0.87%ハロセン・酸素(1MAC)で維持し人工呼吸器で調節呼吸とした。各種カテーテル挿入後、血行動態パラメータを測定した。測定項目は、平均動脈圧(MAP)、心拍数(HR)、心係数(CI)、一回拍出係数(SVI)、中心静脈圧(CVP)、平均肺動脈圧(MPAP)、肺動脈楔入圧(PCWP)、体血管抵抗(SVR)、肺血管抵抗(PVR)、左室dp/dtmaxについて行った。 実験群は0.001%CGRP溶液により平均動脈圧60mmHgに維持した10例である。測定時間は実験準備終了後、血行動態が安定した時点を対照値(S_1)とし、低血圧30分(S_2)、低血圧60分(S_3、低血圧終了10分(S_4)、低血圧終了30分(S_5)の5回行った。測定値は平均値±標準偏差で示し、統計学的検定はANOVAとDunnett's testを用い、P<0.05を有意とした。 【結果】(1)CGRP投与量35.2mug・kg^<-1>(最小量5.6mug・kg^<-1>、最大量115.4mug・kg^<-1>)(2)血行動態【.encircled1.】MAP(mmHg);S_1(114±13)からS_2(60±0.7,P<0.01)、S_3(60±0.9,P<0.01)で有意に低下した。低血圧終了後のS_3(76±4,P<0.01)、S_4(93±6,P<0.01)でも有意な血圧低下が持続した。【.encircled2.】HR(bpm);S_1(156±30)からS_2(149±32)、S_3(154±33)で変動は認められなかった。【.encircled3.】CI(1・min^<-1>・m^<-2>);S_1(2.9±0.8)からS_2(3.4±0.6,P<0.05)、S_3(0.4±0.7,P<0.01)、S_4(4.0±0.6,P<0.01)、S_5(3.6±0.5,P<0.05)で有意に増加した。【.encircled4.】一回拍出係数(ml・beat^<-1>・m^<-2>);S_1(19±7)からS_2(24±7,P<0.01)、S_3(27±8,P<0.01)、S_4(26±7,P<0.01)、S_5(25±6,P<0.01)で有意に増加した。【.encircled5.】CVP,MPAP,PCWP;大きく変動しなかった。【.encircled6.】SVR(dynes・sec・cm^<-5>);S_1(4839±1634)からS_2(2050±455,P<0.01)、S_3(1748±409,P<0.01)で有意に減少した。低血圧終了後はやや回復したが、有意な低下が持続した。【.encircled7.】PVR;大きく変動しなかった。【.encircled8.】左室dp/dt max(mmHg・sec^<-1>);S_1(3200±639)からS_2(3070±771)、S_3(3200±749)で大きく変動しなかった。 【結語】1MACハロセン麻酔下の雑種成犬でのCGRPによる低血圧麻酔の降圧機序は体血管抵抗の低下が主因であった。しかし、低血圧中にも反射性頻脈は出現せず、心拍出量や心収縮力は保持され、肺血管系への影響は少ないことが窺われた。これらの結果から、CGRPによる手血圧麻酔の臨床使用の可能性が示唆された。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 武田,昭平・他: "カルシトニン遺伝子関連ペプチドによる手血圧麻酔の血行動態に及ぼす影響" 麻酔. 42. S300 (1993)
-
[Publications] S.Takeda,et al.: "Comparative hemodynamic effects of hypotension induced by CGRP and PGE_1 dogs." Anesthesiology. 79. S630 (1993)