1992 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜のドメイン構造の解明:膜裏打ちタンパク質とレセプター分子との相互作用
Project/Area Number |
04833003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐甲 靖志 東京大学, 教養学部, 助手 (20215700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠見 明弘 東京大学, 教養学部, 助教授 (50169992)
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Keywords | 膜ドメイン / トランスフェリン受容体 / 側方拡散 / 膜骨格 / レーザー光トラップ |
Research Abstract |
細胞膜の微小ドメイン構造が膜タンパク質の運動領域を制限する機構を解明するため、細胞膜上のトランスフェリン受容体に結合した、金コロイド(40nm)またはラテックス(210nm)の微粒子を、レーザー光トラップ法で捕捉し、レーザー光を掃引することによって、受容体分子を細胞膜上で操作し、その応答を解析した。 その結果、1.6ピコニュートンの補捉力において、2μm以上の距離を掃引できる受容体分子と、0.2μm以下しか掃引できない分子とが存在することがわかった。トラップしていない状態で、前者が1.5x10^<-10>cm^2/s以上の拡散係数と200nm以上の運動範囲を持つのに対し、後者は1.5×10^<-10>cm^21s以下の拡散係数で200nm以下の運動範囲を持つ。この結果は、前者の運動が以前に観察された膜ドメインの内部で自由拡散運動であるのに対し、後者の運動は膜裏打ちー細胞骨格系との相互作用によって運動が遅くなっているものと解釈される。 さらに、掃引可能な受容体分子について、捕捉力を変化させて行くことにより、膜ドメインの性質について以下の結果を得た。 1.細胞膜には受容体分子の運動に対する構造的な障壁が存在する。 2.障壁を乗り越えるには1-0.5ピコニュートンの力を必要とする。 3.障壁間の距離は受容体分子の運動範囲とほぼ等しい。 4.受容体分子の拡散係数・運動範囲はトラップによる動かしやすさ(掃引開始時の加速度)と相関関係が無い。 5.障壁は弾性を持つ。 以上の結果は、細胞膜の裏打ちタンパク質ー細胞骨格系のネットワークが、膜タンバク質の拡散運動を制限するフェンスのように働き、このフェンスの網目によって細胞膜が微小ドメインに区切られているという我々の作業仮説ー膜骨格フェンスモデル(membrane skeleton fence model)を支持するものである。
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Research Products
(1 results)