1993 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜のドメイン構造の解明:膜裏打ちタンパク質とレセプター分子との相互作用
Project/Area Number |
04833003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐甲 靖志 東京大学, 教養学部, 助手 (20215700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠見 明弘 東京大学, 教養学部, 助教授 (50169992)
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Keywords | 細胞膜 / 膜タンパク質 / トランスフェリン受容体 / 被覆ピット / アダプター複合体 / 一粒子追路法 / 光ピンセット / 細胞骨格 |
Research Abstract |
細胞骨格系の破壊が受容体の運動に及ぼす効果を明らかにするため、サイトカラシンDおよびビンブラスチンで処理した細胞(NRK)の細胞膜内のトランスフェリン受容体分子の運動を、金コロイド(40nm)標識によって追跡した。 無処理の細胞では約80%の分子が1x10-9cm2/sの拡散係数を持った拡散運動をしているのに対し、上記の薬剤処理によって細胞骨格系の一部を破壊した細胞では、拡散係数が1/10-1/5に減少した。サイトカラシンDによる微小線維破壊の効果は、ビンブラスチンによる微小管破壊の効果に較べてより顕著であった。また、電子顕微鏡によって、NRK細胞の細胞膜直下に、主として微小線維からなるネットワーク状の膜裏打ち構造が観察された。以上の結果は、細胞骨格系タンパク質で構成された細胞膜裏打ち構造の破壊によって、受容体分子の凝集が起こったと解釈され裏打ち構造が受容体の運動を制御していることを示唆している。 次に、細胞骨格系の膜裏打ち構造と、被覆ピット裏打ち構造であるアダプター複合体の関係を調べるため、受容体の野性型、アダプター結合部位の点変異体、細胞質部分の欠失型のcDNAを作製し、CEF細胞に強制発現させて(Trowbridge博士より供与)を用いて、受容体の運動と光ピンセットによる掃引に対する応答を解析することにした。 野性型受容体は、1x10^<-10>cm^2/s程度の拡散係数を持っているが、0.05pNの光ピンセットでは50nmしか掃引できなかった。この細胞では、野生型分子のほとんどが被覆構造にトラップされていることが示されており、光ピンセットの結果も、それと一致しているが、拡散係数は比較的大きく、野生型の多くが形成途中のやや不安定な被覆構造に入っていることを予想させる。 点変異型、欠失型についても現在解析中である。
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Research Products
(1 results)