2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナイジェリア民間伝承薬物の生物活性成分の解明と科学的根拠に裏付けされた利用に関する研究
Project/Area Number |
04F03301
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Host Researcher |
飯沼 宗和 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授
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Foreign Research Fellow |
ILIYA I.Abubakar 岐阜薬科大学, 薬学部, 外国人特別研究員
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Keywords | ナイジェリア / 民族伝承薬物 / Gnetum / Welwitschia / スチルベンオリゴマー / アポトーシス / メラノジェネシス |
Research Abstract |
ナイジェリア産の民族伝承薬物であるGnetum africanumとその同属植物[G.parvifolium, G.latifolium, G.klossii]および植物形態分類学的に近縁とされるWelwitschia mirabilisについて詳細な成分研究を行い、56種のスチルベンオリゴマーを単離した。これら単離した化合物について、ヒト腫瘍細胞株(HL-60,U-937,SW-480,PC-3)に対するアポトーシス誘導活性、並びにマウスB16メラノーマ細胞を用いたメラニン産生に対する作用を検討した。その結果、gnemonol G(二量体、新規化合物)およびgnetin I(三量体)にヒト白血病細胞HL-60株に対する強力なアポトーシス誘導活性があることを見出した。また、parvifolol A(二量体、新規化合物)はマウスB16メラノーマ細胞に対してメラニン産生抑制活性を示し、その作用機序はチロシナーゼの発現抑制によることを明らかにした。上記研究成果については、第47回天然有機化合物討論会(2005年、徳島)にてポスター発表した。併せて本成果は学術論文に投稿し、現在印刷中である。 一方、他のナイジェリア産民族伝承薬物であるAdansonia digitataにも上述の腫瘍細胞に対するアポトーシス誘導活性があることを平成16年度研究実績で報告しているが、含有成分を精査した結果、epicatechin, rutinおよびnicotiflorinなど数種の抗腫瘍性が報告されているフラボノイド類を単離することができた。 更に、Caralluma dalzieliiの抽出エキスにマウス脂肪前駆細胞3T3-L1細胞に対する脂肪細胞分化誘導阻害活性を見出した。活性成分の単離および構造解析については、研究分担者の帰国後も継続して共同研究を行っていく旨、合意を得ている。 以上、ナイジェリア産の民間伝承薬物について生物活性を評価し、その活性成分を明らかにした。本研究成果は、創薬の基礎的知見となるばかりでなく、A.digitataのように現地で食用とされる植物資源の特定保健用食品への応用に対しても有益な科学的根拠を供するものである。
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Research Products
(6 results)