2005 Fiscal Year Annual Research Report
紐状ピリジンカルボキシアミドオリゴマーの自己組織化による新しい分子カプセルの設計と構築
Project/Area Number |
04F03795
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 誠 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MAURIZOT Victor 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 遷移金属イオン / 有機多座配位子 / 配位結合 / 水素結合 / チューブ状構造 |
Research Abstract |
複数の小分子が自己組織化し、巨大な構造体を構築する仕組みは、自然界においてしばしば観測される。本研究では、この仕組みを有機分子に応用し、有機分子の自己組織化を遷移金属イオンによりコントロールすることで、新規な構造を高効率・高選択的に構築することを目的とした。ここでは、有機分子の自由なコンフォメーシヨンを厳密に規制することが重要な鍵となる。そこで本研究では、その有機分子として、(1)複数の金属配位部位(ピリジル基)をアミド結合で連結した紐状の配位子(ピリジンカルボキシアミドオリゴマー)を設計した。また、(2)2つの金属配位部位(ピリジル基)をアミド結合で連結した「く」の字型の配位子(ビピリジンカルボキシアミド)を設計した。これらの分子の特徴は、分子内に、多点水素結合可能な部位(アミド結合)が存在し、それにより配位子のコンフォメーションが厳密に規制される。すなわち、配位結合と水素結合を共同的に利用した、新規な構造が構築できる。実際、ピリジンカルボキシアミドオリゴマー配位子の合成に成功した。市販のジケトン誘導体を出発原料として、キー中間体である3-アミノ-4-ヒドロキシ-5-ピリジンカルボン酸を5ステップで合成した。この中間体の保護基をはずした後、カップリング反応を繰り返すことで、目的とする4量体のピリジンカルボキシアミド配位子を合成することに成功した。また、1ステップでビピリジンカルボキシアミド配位子の合成にも成功した。この新規配位子と遷移金属イオン(パラジウムイオン)との自己組織化により、球状の構造体が組み上がることを、NMRおよび質量分析により明らかにした。
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Research Products
(2 results)