2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04F04004
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
土田 健次郎 早稲田大学, 文学学術院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SEONG Hyun Chang 早稲田大学, 文学学術院, 外国人特別研究員
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Keywords | 朱子学 / 韓国 / 日本 / 情報化 / 研究史 |
Research Abstract |
研究成果として3篇の論文と1篇の文献目録を発表した。 まず、韓国における朱子学研究の傾向に対する理解の便宜を提供するために日本語訳を付した「朱子学研究文献目録・韓国篇」を発表した。また「韓国における朱子学研究の動向-二〇〇〇年から二〇〇五年六月まで-」においては、韓国の学会誌をはじめとする定期刊行物に載せられた朱子学そのものに関する研究論文の中で114篇を検討対象として、年毎に研究の現況を主題別に分類して概観を試みた。その結果、広い意味で朱子学が現代の観点から如何なる意味を持つかを探る論文が全体の33%弱を占めていることがわかった。このように韓国における朱子学の研究において、単に過去の叙述に止まらず現代的視点に基づいて多様な今日の問題に接近しうる方法を模索するものが多いのは、哲学の現実参与を具体化しようとする意志の反映であろう。かかる西洋哲学の方法と問題意識から東洋哲学を把握する傾向の波は、韓国なりの朱子学研究の土壌を構築しつつあるが、朱熹の本義から外れた解釈から論議を展開したり、戸惑わせる結論を出したりする研究があったのも事実であった。それは朱熹の資料にたちかえることに基づいた研究、つまりテキストを中心にした研究の基盤を持つ比較研究がなされていないためである。この研究成果を活かして二〇〇〇年から二〇〇五年一〇月までに日本で発表された朱子学論文47篇を中心にして「韓国と日本における朱子学の研究史的発展のための予備的考察-日本における朱子学研究の動向を手掛りとして-」を発表した。そこでは次のような結論を出した。"テキストを中心にした研究の基盤が蓄積されている日本の朱子学研究が、西洋哲学の方法と問題意識から朱熹の思想を把握しようとする韓国の朱子学研究の傾向を視野にいれ、一方で韓国の朱子学研究の土壌が理の絶対性・普遍性・超越性から自由になれば、朱熹の思想に潜んでいる様々な顔と出会えるかもしれない。またさらには朱熹の思想の神髄に迫る新たな方法が発見されるかもしれない。" 今後では中国における朱子学研究の動向を含めて、韓国と日本における朱子学関連単行本と二〇〇〇年以前に発表した研究論文を検討対象として作業を進んでいくつもりである。
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Research Products
(4 results)