2004 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本の目に映る中国知識人-外交史料館所蔵清末民初関係資料を中心に
Project/Area Number |
04F04008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾崎 文昭 東京大学, 東洋文化研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIN Yi-qiang 東京大学, 東洋文化研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 章炳麟 / エスベラント / 国粋 / 国学 / 近代中国 / 清末 |
Research Abstract |
研究実績は主に以下の二編の論文があり、いずれも『東洋文化研究所紀要』に掲載される。その概要は以下の通り: 1:「章炳麟における排満思想の形成とアイデンティティの変容」 1896年から1901年までの5年間は、章炳麟のアイデンティティが最も大きく揺れた時期であり、従来の研究に空白の多い時期でもある。本稿は、新たな資料を利用し、「清朝」を「中国」から剥離し、両者を対立させる論式を確立していく過程において、章炳麟の詩文、政論、人物評およびその文体や用語などに現れてきた微妙な変化を捉え、その屈折な軌跡を追いながら、早期章炳麟思想の真相を明らかにしようとする。 2:「『万国』と『新』の意味を問い掛ける-清末国学におけるエスペラント(万国新語)論争」 本稿は日本滞在期間中の章炳麟と劉師培を中心に、エスペラント採用論に対する反論を進化論、コミュニケーション論、国粋論との三つの軸において整理して検討しようとする。その言語論において、言語と歴史とのつながりが最重要視され、文化は言語共同体として定義されていた。清末国学は自らの言語研究を通じて、いわゆる「より純粋な古き良き」中国語を再建しようとした。漢字注音法をはじめ、この論争の結果は、近現代中国語の改革方向に大きな影響を与えたのである。
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Research Products
(2 results)