2004 Fiscal Year Annual Research Report
福建戯曲と沖縄組踊の比較研究:作劇法と音楽の用法をめぐって
Project/Area Number |
04F04011
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Research Institution | Okinawa Prefectural University of Arts |
Principal Investigator |
金城 厚 沖縄県立芸術大学, 音楽学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU F 沖縄県立芸術大学, 付属研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 中国音楽 / 戯曲 / 沖縄音楽 / 組踊 / 明清楽 / 御座楽 / 琉球芸能 |
Research Abstract |
1)組踊りに関する史料として、沖縄県内の図書館等において、冊封使録の内容を精査した。この結果、史料中の「籃舞」「竿舞」などの記述が、中国民間歌舞の「採茶舞」「覇王鞭」「跨馬」の影響を受けた舞踊である可能性が見いだされた。また、長崎明清楽の現地調査を行い、同伝承曲目の中に、琉球御座楽と同じ曲牌の可能性のある曲例を見いだした。今後、これらの可能性についてさらに検討することによって、中国の伝統芸能が沖縄の組踊りに与えた歴史的影響について明らかにしていきたい。 2)以上の成果の一部は、2004年11月に、沖縄芸能史研究会において発表した。また、2005年4月に、東洋音楽学会沖縄支部例会において発表する予定である。また、論文「琉球宮廷舞踊と中国民間歌舞-徐葆光『中山伝信録』をめぐって」が沖縄県立芸術大学付属研究所紀要『沖縄芸術の科学』(2005年3月)に掲載予定であったが、同誌の編集上の都合により、掲載が次号に順延となった。 3)沖縄県内において古典音楽や組踊りの実技を実習し、体験的に組踊りの構成要素や様式についての知見を得ることができた。現在のところ、物語の登場人物と舞台上の役者との対応関係、登場人物と音楽との結びつき、歌掛け(対歌)の技法の使用など、幾つかの要素において、日本の能との関係よりも中国の戯曲との関係がより深いように思われる。次年度には、多くの曲目について福建戯曲との詳細な比較を行い、論点を整理する作業に取り組みたい。 4)この他、組踊りに関連する沖縄本島内各地の地方芸能のフィールドワークを行った。この調査結果と組踊りの成立との関連についての考察は、次年度に予定している調査を含めて取り組みたい。
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