2005 Fiscal Year Annual Research Report
市場経済における教育と雇用の関係:1997年-2002年の7先進国と3途上国に関する実証研究
Project/Area Number |
04F04016
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐々木 隆生 北海道大学, 大学院・公共政策学連携研究部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LOULANSKI V.P. 北海道大学, 大学院・公共政策学連携研究部, 外国人特別研究員
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Keywords | 雇用 / 教育 / 労働市場 / 過渡期経済 / 失業率 |
Research Abstract |
教育と労働市場の関係については,これまでArrow and Shavit, Becker, Blaug, Carnoy, Layard and Pscharopoulos, Nickell, Mincer, Schultz,橘木,Thurowなどの研究に基づいて実証的に探求されてきたが,いずれも教育と賃金構造の関係に焦点をあてており,教育と雇用の関係についての研究は立ち遅れてきた。本研究は,経済的社会的開発にあたっていかなる教育制度と労働市場の構築が望ましいのかを明らかにするという問題意識から,教育と雇用に関する数量的分析を行ったものである。研究は,分析的理論を含む文献研究,データの収集・吟味と分析から構成されているが,殊にOECD, UNESCOの協力を得て50人以上に及ぶ研究者から重要な示唆を受けて進められた。 データは,クロスカントリー・データとパネル・データからなり,それらに関して統計的分析を行った結果については,一方のデータが他よりも多くのノイズ等を含むという問題点が存在したが,2つのデータからの分析は同一の結果を示唆し,職業専門学校を含む高等教育の増大が雇用機会の増大を2%(過渡期経済では4%)拡大することが明らかとされた。これは最近のOECDの研究結果に親和的である。また,追加的な教育は先進国において1.5%,過渡期経済において2%の失業低下をもたらすことも明らかとなった。また,重要なことに,研究から得られた結果から,雇用の変化が大きな技術学的・制度的変化と結合することが示唆される。なお,これらについては,2006年2月の香港中文大学における国際ワークショップにおいてThe Impact of Worker's Education on the Unenpoyment : an International Perspectiveと題する報告において明らかにし,今後雑誌等に発表する予定である。
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