2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04F04017
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今井 晴雄 京都大学, 経済研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
COLPAN Meziyet Asli 京都大学, 経済研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 日本の繊維産業 / 成熟産業 / 製品多角化 / 海外進出 / 技術開発 |
Research Abstract |
今年度の研究実績としては、裏面のリストにあるように、多くの成果を公表することができた。とくに、日本の繊維産業の国際競争力に関する考察を、異なる角度から体系的に行い、これまでの研究では理解されていなかった多くの論点が指摘されたことは意味のある実証成果といえる。また、これらの研究成果を海外のいくつかの学会で報告し、さらにはその報告にもとづいて、英文の学術誌に掲載がなされたことも、今年度の大きな業績として報告したい。 今年度の研究の結果として特に記しておきたいのは、日本の繊維産業の国際競争力の低下は、必ずしもマクロ経済要因によって一義的に決定されてきたものではなく、むしろ個別企業が選択した成長戦略と投資行動のあり方が、重要な要因であるという結論である。歴史的な個別企業の成長パターンの分析と、計量経済学的な手法を用いた考察とを統合して得られる論点は、企業が成熟産業である繊維産業にある場合でも、投資行動によって利益性を維持することが十分に可能であり、とくに技術投資とその成果に基づく関連分野への多角化が、最適の成長戦略であるということである。 このような実証の成果を、特にアジアとアメリカ合衆国での学会と研究会で報告することもできた。すなわち、12月の上海で開催されたアジア経営学会のオープニング・セッションにおいて、今年度の研究成果のまとめを報告して、中国、香港を中心とする同様の関心を持つ研究者と意見の交換をすることができたのは大きな成果であった。さらに、2月にカリフォルニア大学バークレー校において、より包括的な視覚からの研究報告を行い、同大学の特に経済学研究者から有益なコメントをもらうことができた。また、これらの研究成果を海外の学術誌に投稿し、掲載決定のものを含めて、世界の研究者、実務家と共有できたことは大きな成果である。
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Research Products
(5 results)