2004 Fiscal Year Annual Research Report
最適な生命保険のデザイン及び生命保険の需要に関する研究(日本における実証分析)
Project/Area Number |
04F04019
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木島 正明 京都大学, 経済学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MAHDAVI KLISHOMI G 京都大学, 経済学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 生命保険需要 / 不確実性 / 危険回避 / 人的資本 / 確率モデル |
Research Abstract |
生命保険需要に関する分析: 本年度は理論的リサーチを中心に行った.理論的アプローチの目的は,生命保険需要に対する決定的および確率的モデルのフレームワークにおける最適制御を消費者の行動から求めることと,生命保険需要に影響を与える変数を抽出することにあった. 生命保険需要の最適制御を求めるには,決定的なフレームワークにおける消費と資産を結び合わせた資産蓄積過程への期待効用関数が最も効果を発揮する. 確率モデルにおいては,伊藤確率積分を応用して,資産蓄積確率過程に関しては寿命期待効用関数を最適化し,生命保険需要の最適制御を求めた. 系統だった生命保険需要を見いだすためには,相対的リスク回避度を表す効用・遺産関数の具体例を考察し,説明変数の影響を決定づけた. 確率モデルにおける消費者行動の最適化問題から導出された生命保険時間径路は、不確実性が伴わないモデルで得られる径路の下に位置する。これは、資産の蓄積過程における不確実性が生命保険の需要を下方にシフトさせることを意味している。 相対的危険回避度一定の効用関数の下では、消費と遺産から得られる期待生涯効用を最適化することにより、明示的に生命保険需要を求めることができる。この導出された需要関数から、生命保険需要が所得、そして、死亡率と正の関係があることが明らかとなった。一方、生命保険需要において負の変化をもたらす要因は負担率の変化と総資産であることが明らかとなった。資産の増加は生命保険需要に負の影響を与える。なぜなら、モデルにおいて資産は生命保険の代替となるからである。
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