2005 Fiscal Year Annual Research Report
中国語基本周波数パターンの分析、定式化と合成手法の開発
Project/Area Number |
04F04035
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
広瀬 啓吉 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GU Wentao 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 標準中国語音声 / 生成過程モデル / 基本周波数パターン / 声調 / 広東語 / パラ言語情報 / 声調核 / 呉方言 |
Research Abstract |
研究代表者等が日本語について開発した基本周波数(F_0)パターンの生成過程のモデルを声調言語の中国語に拡張した上で、標準語のみならず、広東語、呉方言のF_0パターン分析を行い、以下の成果を達成した。 1.生成過程モデルの指令パラメータを、文から自動的に得られる言語情報等を入力とした2分木により推定する枠組みを確立し、詳細な解析を行った。また、文節毎の感情の情報を入力に追加することにより、追加しない場合と比較して、より感情のこもった合成音声が得られることを示した。 2.標準中国語の音節F_0パターンを近似する関数形を提案し、それを用いたモデル化により、文音声のイントネーションと声調を良好に表現し得ることを示した。 3.標準中国語の分析結果を基に、より複雑な広東語の各声調について、生成過程のモデルの声調指令の形状を設定した。それを制約として用いることで、観測されるF_0パターンから生成過程モデルの指令を自動抽出する手法を開発した。標準語に対する結果と合わせ、自動指令抽出アルゴリズムの一般化を図った。 4.特に複雑な声調体系を有する呉方言(Suzhou方言,Wujiang方言)について生成過程モデルによる表現を行った。 5.広東語について強調、疑問等のパラ言語情報がF_0パターンにどのように現れるかを、生成過程モデルの枠組みで分析し、主として強調はフレーズ成分に、疑問は文末の声調指令に現れることを示した。疑問については、終助詞の有無による違いがあることを指摘した。 6.テキストからの標準中国語F_0パターン合成について、フレーズ成分を規則ベースで、声調成分をコーパスベースで合成する手法を開発した。フレーズ成分については、統語構造と指令間隔に基づいた簡単な規則を構築し、声調成分については、声調の特徴が明確に現れる声調核に着目したパターン接続手法を構築した。合成音声の聴取実験で有効性を確認した。
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