Research Abstract |
昨年度に得られた2つの結果については,1つ目の,退化した凸曲面においてのSteinhauss型の問題についての研究は,もう一人の共同研究者のJ.Rouyerと連絡を取りあい,定幅凸領域の場合の性質も加えて,論文がまとまりつつある.2つ目の前半部分,4辺形を用いる比較定理を作り,凸曲面における最遠点となりえる場所を特徴付ける問題に関しては,論文を仕上げて現在投稿中である.また,後半部分の凸多面体の場合に曲率がπ以上の頂点は必ずどこかの点の最遠点となることについては,滑らかな曲面への拡張を検討し,概ね結果が得られた.更に,そのような点が3つ以上ある場合は,その中のどれかは,直径を与える2点の一つになることを示すことも出来,滑らかな場合の設定を現在検討中である. 今年度から始まった問題として,ある点pが点qからの距離関数の臨界点となるとき,qをinverse critical pointとよび,その存在とその個数を調べた.任意曲面で任意の点のinverse critical pointは少なくとも1個存在し,全ての点で1個のときは,球面に位相同形となり,向き付け可能の場合は有限個で,その個数評価も種数によって出来た.(T.Zamfirescu, I.Baranyとの共同研究として,現在論文のまとめに入っている.) また,凸曲面で全ての測地線が自己交差しないことと,4つの合同な三角形の面からなる4面体であることとは同値なことも示した.また,その際に使った,単純閉測地線の長さと,そこから最も離れた点までの距離との積は,曲面の面積の2倍以下となることを用いて,凸曲面におけるいろいろな不等式を示すことが出来た.その他,cylinderのもつ不思議な性質に関する研究もまとめた.
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